第85回目は、同一労働同一賃金②です。
前回説明したとおり、均衡待遇は職務内容等に違いがある場合でも、その違いに応じたバランスの取れた待遇を求めるもので、均等待遇は職務内容と配置変更範囲が全く同じ場合に差別的取扱いを禁止するものです。
【均等待遇】(パート・有期法第9条)
①職務の内容(業務内容+責任の程度)と②職務の内容・配置の変更の範囲が、通常の労働者と完全に同一である場合は、一切の差別的取扱いが禁止されます。この場合、基本給、賞与、各種手当等すべての待遇について、同一の取扱いをしなければなりません。この2要素が同じなら、いかなる待遇差も認められません。
【均衡待遇】(パート・有期法第8条)
一方、上記2要素のいずれか、または両方に違いがある場合は、①職務の内容、②職務の内容・配置の変更の範囲、③その他の事情の3つを考慮して、不合理な待遇差を禁止します。
①職務の内容:業務の種類・内容と、与えられた権限、求められる成果、トラブル対応等の責任の程度
②変更の範囲:転勤、職種変更、昇進等の人事異動の有無や範囲(将来の見込みも含む)
③その他の事情:定年後再雇用、成果、能力、経験等の個別事情
最も重要なのは、個々の待遇ごとに「性質・目的に照らして」関連する要素を考慮することです。
次回テーマは、「同一労働同一賃金③」です!

社会保険労務士 上戸 悠吏江(うえと ゆりえ)
2008年太田綜合法律事務所(現PLAZA総合法律事務所)。2018年社会保険労務士登録。北海道出身。