第82回目は、育児・介護休業法⑯です。
育児・介護休業法の改正により、令和7年10月1日から「柔軟な働き方を実現するための措置」が義務化されます。これは、3歳から小学校就学前の子を養育する労働者に対して、事業主が複数の措置を講じなければならないというものです。
事業主は、以下の5つの措置から2つ以上を選択して講じる必要があります。
・始業時刻等の変更の措置(フレックスタイム制、時差出勤制度)
・在宅勤務等の措置(月10日以上利用可能)
・育児のための所定労働時間の短縮措置(1日6時間勤務など)
・養育両立支援休暇を与えるための措置(年10日以上、時間単位で取得可能、有給か無給かは企業で決定できる)
・保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与
労働者は、事業主が講じた措置の中から1つを選択して利用することができます。ただし、継続雇用期間が1年未満の労働者、週の所定労働日数が2日以下の労働者などは、労使協定により対象外とすることができます。
在宅勤務等の措置は、1週間の所定労働日数が5日の労働者の場合、月10労働日以上利用できるようにする必要があります。養育両立支援休暇は、具体的な用途を限定せず、時間単位で取得でき、年間10労働日以上の利用が可能でなければなりません。
事業主が措置を選択する際は、事業所の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合、ない場合は労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければなりません。
育児介護休業規程への定め方など、ご不明な点などございましたらお気軽にご相談ください。
次回テーマは、「育児・介護休業法⑰」です!

社会保険労務士 上戸 悠吏江(うえと ゆりえ)
2008年太田綜合法律事務所(現PLAZA総合法律事務所)。2018年社会保険労務士登録。北海道出身。