『ビジネス法務』2021年3月号の特集は「新型コロナで変わる『対話』のかたち 株主総会2021」です。コロナウィルスは、いまだに収束の見通しが立ちませんが、その中でも本年総会の開催に向けて準備を進めていく必要があります。本特集では、2020年総会の特性をふまえた上での課題を幅広く発掘し、本年に活かすための必要な視点をピックアップ。ハイブリッド出席型バーチャル総会の開催可否。議決権行使基準の変容などを取り上げ、「新しい対話」についての解説がなされています。
- Ⅰ コロナ感染対応
- 1さまざまな感染対策
- 2感染対策の法的な背景とガバナンス
- 3株主の来場を禁止できるのか
- Ⅱ 「バーチャル総会」への道
- 1「出席型」リアル併用バーチャル総会
- (1)リアル併用バーチャル総会とは
- (2)堅持すべき株主総会のデュープロセス
- (3)「出席型」の課題と2021年への展望
- 2「参加型」のリアル併用バーチャル総会
- Ⅲ 変容する株主提案
- 1年々増加する株主提案
- 2変容する株主提案の内容
- (1)提案目的の変化
- (2)変化の背景
- (3)ファンドの動向
- Ⅳ EGS投資・SDGsと総会
- Ⅴ 2021総会への展望
- 1さらなる感染対策
- 2新しい形としての「バーチャル総会」
- 3注目されるリーダーシップ
<PLAZA総合法律事務所の弁護士解説>
2020年は、1年を通じて新型コロナウイルス感染症により大きく影響を受けた年でした。4月7日に7都道府県を対象に緊急事態宣言が発令され、同月13日にはその対象が全国に拡大されました。総会準備の大詰めに差し掛かる時期に経験のない事態に直面し、その対応に頭を悩ませることも多かったかと思います。
本稿では、株主に対する安全配慮義務に基づく新型コロナ感染症への対応と、株主総会決議の取り消し等の問題を避けるべく株主総会の適法性を維持しなければならないという両面からの要請に対し、どのような工夫と対策がなされたのかの解説に加え、今後、株主総会の新しい形として検討が進むであろう「バーチャル総会」について触れられております。
例えば、従来の開催方法に加えて、物理的な感染症対策として消毒液の準備や検温の実施、お土産の取りやめやアクリル板の設置をすることが考えられるほか、会場でのリアル総会とITを活用したバーチャル総会を併用する「ハイブリッド型」という方法が新たに登場しました。リアル総会の場合と遜色なく、即時かつ双方向のやりとりができる形で、株主権を行使できる仕組みの構築が求められるため、「デュープロセス(適正手続)」に則った総会の新しい形が検討される契機となったといえるでしょう。
国民全員が直面したコロナ禍における、総会実務の創意工夫をみることができる興味深い記事となっておりますので、この機会に是非ご一読ください
(弁護士 菊地 紘介)
協力:中央経済社
公式サイト(http://www.chuokeizai.co.jp/bjh/)