第89回目は、2026年の法改正です。
2026年の労働関係法に関する主要な改正点をまとめました。
1点目は、カスタマーハラスメントや、求職者等に対するセクシュアルハラスメントを防止するために、雇用管理上必要な措置を講じることが事業主の義務となります。施行日は公布日(2025年6月11日)から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日となっております。事業主が講ずべき具体的な措置の内容等は、今後指針において示される予定ですが、「事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発」、「相談体制の整備・周知」、「発生後の迅速かつ適切な対応・抑止のための措置」などの対応が必要になるようです。
2点目は、在職老齢年金についてです。2026年4月から、在職老齢年金の支給停止基準額が月額51万から月額62万円へと引き上げがなされます。在職老齢年金制度とは、老齢厚生年金の基本月額(年金)+総報酬月額相当額(給与)の合計額が支給停止調整額を超える場合には、その合計額の1/2相当の老齢厚生年金の支給停止となる制度です。この支給停止調整額が引き上げられることで、これまで年金額の調整を避けるために働き方を制限していた高齢者が、収入を気にせずフルに活躍できる環境が整います。
3点目は、子ども・子育て支援金制度です。少子化対策の財源に充てるために創設され、健康保険料や介護保険料と合わせて徴収される仕組みで、事業主と従業員の双方が負担をします。2026年4月分の保険料から開始され(翌月徴収の会社であれば、5月支給の給与から天引きが始まります)、徴収される料率は加入している健康保険組合等によって異なりますが、協会けんぽであれば、2026年度の支援金率については、国から示された「実務上一律の支援金率」を踏まえて0.23%となります。
次回テーマは、「同一労働同一賃金⑥」です。

社会保険労務士 上戸 悠吏江(うえと ゆりえ)
2008年太田綜合法律事務所(現PLAZA総合法律事務所)。2018年社会保険労務士登録。北海道出身。