『ビジネス法務』2026年2月号の連載は「差止請求事例から考える利用規約のチェックポイント」です。その第6回は「事業者による契約内容の一方的変更を認める条項」(執筆:小林直弥弁護士/土田悠太弁護士)。近時の差止請求事例を紹介しながら、留意点が解説されています。
- Ⅰ 問題の所在
- Ⅱ 近時の差止請求事例
- 1株式会社悠優コスメティクスに対する差止請求
- 2ミニッツラウンドゴルフに対する差止請求
- Ⅲ 実務上の留意点
- 1定型約款の変更に当たる場合
- 2定型約款の変更に当たらない場合
<PLAZA総合法律事務所の弁護士解説>
1 はじめに
本稿では、事業者による契約内容の一方的変更を認める条項の有効性について考察されています(元執筆者:小林直弥弁護士、土田悠太弁護士)。
2 定型約款の変更
利用規約においては、事業者が一方的に契約内容を変更できる旨の条項が定められることがあります。利用規約が民法上の「定型約款」に該当する場合においては、変更条項による利用規約の変更は、定型約款の変更として、民法548条の4の要件を満たす必要があります。
まず同条第1項では、定款約款を変更できる場合について定められています。定型約款を変更できる場合とは、①定型約款の変更が相手方の一般の利益に適合するとき、または、②その変更が契約をした目的に反せず、かつ、合理的なものであるとき、とされています。
第2項では、定型約款の変更手続について定められています。事業者は、定型約款の変更をするときは、①効力発生時期を定め、②定型約款を変更する旨、変更後の内容、効力発生時期をインターネットなどの適切な方法により周知しなければならない、とされています。
そして第3項においては、事業者は効力発生時期までに周知をしなければ、約款変更の効力が生じないとされています。
3 消費者契約法10条
変更条項により変更する対象が利用規約ではない場合、定型約款の変更には該当しないことになります。その場合、事業者の変更権限を認める条項が、消費者契約法10条により無効とならないかが問題となります。
消費者契約法10条は、①消費者の不作為をもって消費者が新たな申込み又は承諾をしたものとみなす条項、その他法令の任意規定に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を荷重する条項であって、②信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とすると定めてあります。
そして、事業者に一方的な変更権限を認める条項は、前段①の要件をみたすと考えられます。他方で、後段②の要件をみたすか否かは、様々な事情をもとに総合的に判断されることとなります。
4 おわりに
今回もお目通しをいただき、ありがとうございました。
本稿では、近時の差止請求事例を解説しつつ、変更条項を定める際の実務上の留意点について論じられております。本稿をお目通しになり、変更条項を含めた利用規約のポイントについて再確認するきっかけとしていただければと思います。

弁護士 小川 頌平(おがわ しょうへい)
札幌弁護士会所属。
2025年弁護士登録、同年PLAZA総合法律事務所入所。北海道出身。

協力:中央経済社
公式サイト(http://www.chuokeizai.co.jp/bjh/)