『ビジネス法務』2019年7月号の特集は「下請法 実務の総点検」です。下請法違反を受ければ社名が公表され、レピュテーション(評判)の低下を招くおそれがあるため、企業にとっては無視できないリスクになっています。ところが、下請法のカバーする対象取引や禁止行為などは多岐にわたり、油断しているとうっかり違反をしてしまいがち。
今回の特集では、法規制の概要、法違反を防ぐ社内マニュアル作成時の視点、法遵守のための社内監査の方法など、実務を総点検するポイントが解説されています。
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親事業者の4つの義務
1)書面の交付義務(3条)
2)書類の作成・保存義務(5条)
3)下請代金の支払期日を定める義務(2条の2)
4)遅延利息の支払義務(4条の2)親事業者の11の禁止事項
1)受領拒否の禁止(4条1項1号)
2)下請代金の支払遅延の禁止(4条1項2号)
3)下請代金の減額の禁止(4条1項3号)
4)返品の禁止(4条1項4号)
5)買いたたきの禁止(4条1項5号)
6)購入・利用強制の禁止(4条1項6号)
7)報復措置の禁止(4条1項7号)
8)有償支給原材料等の対価の早期決済の禁止(4条2項1号)
9)割引困難な手形の交付の禁止(4条2項2号)
10)不当な経済上の利益の提供要請の禁止(4条2項3号)
11)不当な給付内容の変更・やり直しの禁止(4条2項4号
<太田・小幡綜合法律事務所の弁護士解説>
下請法の問題は、業務委託契約との関係でも問題となります。下請法の対象となる取引は、①製造委託②修理委託③情報成果物作成委託④役務提供契約の4類型となっています。気づかず、下請法の制限に該当してしまう恐れがありますので、ぜひご覧になってご確認いただければと思います。
本稿では,下請法上の義務規定や、禁止規定について、詳述されています。例えば、下請事業者に対し、親事業者の指定するものを購入させたり、下請事業者が、親事業者を公正取引委員会に報告したことを理由に不利益な取り扱いをすることも禁止しています。その他にも、様々な義務規定や禁止規定が定められておりますので、ぜひご確認いただければと思います。
下請法に関して、指導件数増加の傾向を考えると、会社様にとっても、下請法のコンプライアンスをいかに守るかは、重大な問題です。この機会に是非ご参考にして頂ければ幸いです。
(弁護士 西尾 順一)
協力:中央経済社
公式サイト(http://www.chuokeizai.co.jp/bjh/)