『ビジネス法務』2019年7月号の「特集2」では、最新のSNSによるリスクの予防と対応について書かれています。Q&A方式によって4つのケースについて解説がなされています。よくある事例として質問内容を記載します。
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Q1事例
従業員が、社内の出来事について虚偽の事実を述べて、会社を誹謗中傷する内容をSNS上に発信したことが、第三者からの問合せの電話により発覚しました。こうしたSNSトラブルについて、会社としてはどのような対応をとることを検討しなければいけないのでしょうか。Q2事例
近年、SNSによるトラブルが社会的問題になっていますが、従業員によるトラブルとなり得るようなSNS上への情報発信を予防するには、どのようなことをすればよいのでしょうか。Q3事例
インターネットの掲示板に会社の誹謗中傷や、会社の信用に関わる情報が書き込まれていることが判明し、その投稿者が従業員Aであることが特定されました。従業員Aに対しては、厳しい懲戒処分を求めたいのですが、どうやって処分の妥当性を判断したらよいのでしょうか。Q4事例
誰でも閲覧可能なSNS上で、当社の名前が出されたうえで、社内のことについての虚偽の事実があたかも真実であるかのように書かれています。その内容から社内のある従業員が就業時間中に記載したことが疑われるのですが、当該従業員に貸与しているPCを調査(モニタリング)することはできるでしょうか。
<太田・小幡綜合法律事務所の弁護士解説>
本記事では、近年企業や従業員がSNSを使用することで生じる様々なリスクとその対応について特集されています。
記事中では、近年SNSへの投稿自体が、投稿者の特定が出来れば、良くも悪くも裁判上の証拠として扱われていること、従業員が企業の回線を通じて投稿を行った場合、投稿内容について企業が法的責任を追及される可能性があること、企業について不利益な情報がSNSに投稿された場合の対応方法などが説明されています。
特にSNSに関するトラブルの解決にあたっては、①匿名の投稿者を特定するコストと難易度が高いこと、②敗訴した場合より風評被害が高まるなどリスクが高いこと、③勝訴したとしても事態が悪化する場合もありうること、等を熟慮した上で、どのような対応をするかの検討をすることが大切であることが述べられております。
企業においてSNSを通じた発信をする場合や従業員によるSNS利用に関して、是非本記事とご参考として今一度運用面で問題がないかをご確認頂ければと存じます。
(弁護士 山下 剛)