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【旬の判例】~第9回 「社会福祉法人緑友会事件」

第9回目は「社会福祉法人緑友会事件」です。

Xさんは、社会福祉法人緑友会(以下「Y法人」といいます。)で働く保育士でしたが、妊娠したことから産休に入り、出産後、Y法人に復職したい旨、連絡しました。
もっとも、Y法人は、Xさんを復職させることはできないとして、Xさんを解雇しました(以下「本件解雇」といいます。)。Xさんは、本件解雇の無効を主張し、Y法人に対して、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認等を求めました。

本事案で、問題となった論点はY法人によるXさんの解雇の有効性です。
労働契約法16条は、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とする。」とされ、解雇には「合理的な理由」と「社会通念上相当」であることが必要とされております。
また、男女雇用機会均等法9条4項は、「妊娠中の女性労働者及び出産後一年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は、無効とする。 ただし、事業主が当該解雇が前項に規定する事由を理由とする解雇でないことを証明したときは、この限りでない。」と定めております。
つまり、原則として妊娠中の女性労働者及び出産後一年を経過しない女性労働者の解雇は無効であり、事業主が当該解雇が妊娠・出産を理由とする解雇でないことを証明した場合に限り、解雇は有効となります。

判決では、「原告Xが本件保育園の施設長であるB園長の保育方針や決定に対して質問や意見を述べたり、前年度の行事のやり方とは異なるやり方を提案することがあったことは認められるものの、質問や意見を出したことや、保育感が違うということを持って、解雇に相当するような問題行動であると評価することは困難であり、また、XのBらに対する言動に、仮に不適切な部分があったとしても、BがXに対して度重なる注意、改善要求をしていたとは認められず、Xには十分な改善の機会も与えられていなかった」として、Y法人の就業規則24条7号の「その他前各号に準ずるやむを得ない事由があり、理事長が解雇を相当と認めたとき」に該当するとは言えず、本件解雇は客観的合理的理由を欠き、社会通念上相当であると認めることもできず、権利の濫用として無効と判断しました。
そして、均等法9条4項ただし書きの「証明」とは、「単に妊娠・出産等を理由とする解雇ではないことを主張立証するだけでは足りず、妊娠・出産等以外の客観的に合理的な解雇理由があることを主張立証する必要がある」とし、上記のように客観的合理的理由を欠くことから、本件解雇は均等法9条4項にも違反し、無効としました。

解雇の対象となる人が、妊娠中又は出産後1年を経過しない女性だった場合、上記のように労働契約法16条だけではなく均等法9条4項というハードルが加わって参りますので、解雇を検討している使用者はより慎重に判断すべきと言えましょう。

弁護士 櫻井 彩理(さくらい さり)

第二東京弁護士会所属。
2020年弁護士登録、2021年PLAZA総合法律事務所入所。東京都出身。

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