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【ビジネス法務】「ジョブ型雇用」導入のポイント

『ビジネス法務』2022年7月号の特集2は「『ジョブ型雇用』導入のポイント」です。ジョブ型雇用とは主に欧米で導入されている雇用形態のこと。日本でも導入事例がみられるようになり、その成果が注目されています。しかし、この方式が旧来のメンバーシップ雇用型よりも優れていると考えるのは早計。導入にあたっては慎重な検討を要します。本特集では、日本におけるジョブ型雇用の現状を整理するとともに、判例をふまえた法的留意点の検討、先進事例の紹介もあります。

  • ◆「日本版ジョブ型雇用」の現状と課題
  • ◆ジョブ型雇用をめぐる法的留意点の検討
  • ◆ジョブ型人材マネジメントの実践例

 <PLAZA総合法律事務所の弁護士解説>

1はじめに-(「ジョブ型雇用」の概念と導入の背景)
「ジョブ型雇用」とは、契約で職務が特定されている雇用形態のことであり、従来の日本の雇用形態である「メンバーシップ型雇用」とは異なって、職務担当が固定されている(例えば、法務部→営業部→人事部→法務部というような担当部署の異動がない)点に特徴があります。本記事では、欧米で主流となっている「ジョブ型雇用」を日本企業が導入する際の留意点について、解説がなされています。
近時、「ジョブ型雇用」が議論されている背景には、少子高齢化に伴い従来の年功序列型賃金制度を維持することが困難になってきたことや、いわゆる「同一労働同一賃金」に関する法律改正や最高裁判決が相次いでいることが挙げられます。

2本論-(具体的導入の是非及び方法)
もっとも、上記最高裁判決が指摘した「同一労働同一賃金」を形式的に実現するために、既存の従業員に不利益な方向で「ジョブ型雇用」への切替えを行うことには懸念も示されています。本記事では、欧米諸国と比較した場合の日本の文化的特徴を踏まえたうえで、なお、「ジョブ型雇用」を採用するべきなのか、採用するとしても欧米型をそのまま導入するのではなく何らかの修正を加えることが必要なのではないかという点について検討がされています。

3おわりに-(「ジョブ型雇用」のメリットとデメリット)
「ジョブ型雇用」を導入するということは、日本の従来の年功序列型賃金制度に代表される「メンバーシップ型」の利点を放棄するという一面も持つものでもあり、安易な導入は控えるべきです。しかし、事業遂行上必要不可欠な「仕事」をベースに捉え、そこに「人」を当てはめるという考え方の「ジョブ型雇用」には、(労働法規の適用を完全に排除することはできませんが)事業の趨勢に応じて雇用状況を調整しやすくなるという側面もあり、うまく使いこなすことができれば、事業の成長に資する部分は大いにあるでしょう。
ぜひご一読いただき、「ジョブ型雇用」を導入する検討の手掛かりとしていただけましたら幸いです。


(弁護士 白石 義拓)

協力:中央経済社
公式サイト(http://www.chuokeizai.co.jp/bjh/

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