第73回目は、育児・介護休業法⑪です。
育児・介護休業法には、「時間外労働の制限」という制度があります。これは、小学校就学の始期に達するまでの子どもを養育する従業員や、要介護状態にある家族を介護する従業員が申し出た場合、会社は法定時間外労働(1日8時間、週40時間を超える労働)について、1か月24時間、1年150時間を超えて働かせてはならないというものです。
この制度は、育児や介護と仕事の両立を支援するために設けられており、申請は1回につき1か月以上1年以内の期間で指定できます。申請回数に制限はなく、必要に応じて繰り返し利用することが可能です。
対象となる従業員は、男女や雇用形態を問わず、小学校就学前の子を養育している方や、対象となる家族を介護している方です。対象外となるのは、継続雇用期間が1年未満の従業員、週の所定労働日数が2日以下の従業員などです。
申請方法は、原則として開始予定日の1か月前までに書面で行う必要があります。社内に申請書式がある場合はそれを使い、ない場合は厚生労働省の様式例などを活用できます。
なお、事業の正常な運営に支障がある場合は、会社は請求を拒否できる場合もありますが、単に業務上必要という理由だけで拒否することはできません。
次回テーマは、「育児・介護休業法⑫」です!

社会保険労務士 上戸 悠吏江(うえと ゆりえ)
2008年太田綜合法律事務所(現PLAZA総合法律事務所)。2018年社会保険労務士登録。北海道出身。