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2023.3.8

[法務サービス部・関上健一郎が行く顧問先訪問]PET検診でがんの早期発見を行う「LSI札幌クリニック」

  • 院長・医師・放射線診断専門医
  • 山田有則(やまだ・とものり)さん
  • 1965(昭和40)年、旭川市生まれ。旭川医大卒。同大大学病院放射線科、岩見沢明日佳病院内科などを経て2020(令和2)年4月から現職。

関上 昨年、2022年の年末のことでした。御クリニックの「PETエグゼクティブコース」でお世話になりました。おかげで、大腸ポリープが見つかり、初期段階だったこともあり内視鏡で切除することができました。今日は改めてLSI札幌クリニックについて知りたいと思っておじゃましました。

山田 ありがとうございます。名称のLSIは「Life Style Innovation(ライフ・スタイル・イノベーション)」の頭文字。「生活習慣に革新を」を標榜しています。予防医療を推進する重要拠点として、主にPET/CT機器を使用した人間ドックを実施。がんの早期発見を目指しています。

関上 PET検査とはどんな検査ですか?

山田 簡単に言うと、PET検査とは陽電子断層撮影法のことです。従来のCT(コンピュータ断層撮影法)やMRI(磁気共鳴画像)といった体の構造をみる検査とは異なり、細胞の活動状況を画像でみることができる検査のこと。がん・脳・心臓といった病気の診断に有効な診断方法として一般化してきました。一度の検査で全身を撮影することができ、カメラの下に15分ほど横になっていただくだけで終了します。

関上 ああ、わたしの時もそうでした。

山田 最近は受診者が多いこともあり、結構な割合でがんが見つかる人が増えています。たいがいは初期段階で発見できるので、治療もおおごとにならないケースがほとんどです。

関上 先日わたしが受診したコースでは、専属のコンシェルジュさんに終始サポートしてもらいすごく丁寧でした。個別対応ということで、ホテルのような個室が使えました。午前中に入って5時間半くらい。夕方には終了しました。1日で検診が終わりました。

山田 検査した人の画像をしっかりと見て、がんが見つかった場合には、場所ごとに、ここだったらあそこの病院がいいというように、当クリニックから予約をする、ということまで行っています。アフターフォローをしっかりとする、ということを重視しています。

関上 そういう流れでわたしの場合も、大通にある専門のクリニックを紹介していただいたのですね。がん以外も発見できるのですか?

山田 がん以外の病気が見つかった場合も、その分野の専門医を紹介しています。これまで心臓はあまり見てこなかったのですが、リクエストが増えたこともあり、適切な病院を紹介しています。病気のことはなんでもお応えできるようにしてています。先日も、十二指腸がんを発見した患者さんが1年後に来院してくれて「LSI札幌クリニックのおかげで、抗がん剤を使わずに治すことができた」と感謝のことばをいただきました。「LSI札幌クリニックに行けばしっかりと見てくれるし、万が一がんが発見された時も適切な病院を紹介してくれる」と言われるようになってきました。

関上 このようにしてきたのは山田院長になってからですか?

山田 わたしが院長になった2020(令和2)年は、コロナ禍が始まったころでした。受診者も減り経営的にも苦しくなりました。そこで、一番受けやすいコースの料金を見直すことにしました。とにかく来院していただき、検査の良さをわかってもらわないことには始まらないなと。普通の人が受診できないようであるならば、当クリニックは存在している意味がないだろうと考えました。「PETがん検診トライアル」というコースは6.8万円だったものを5.5万円に値下げしました。「PET検査」という分野で言うと、全国最安値になっていると思います。東京あたりだと10万円前後します。

関上 そうなんですか。

山田 PET検診の場合、薬剤原価が半分近くを占めています。当院ではこの薬剤を作る資格を得ているので毎日作成しています。大量に作り、一人当たりのコストを抑えています。札幌市内では数施設くらいしか、作れる施設はありません。

関上 まったく知りませんでした。

山田 加えて、院内改革として、いろいろな選択肢を設定することにしました。乳がんドックやすい臓がんドックとか。一番安価なコースは結果が書面で郵送されるだけなのですが、「書面を見てもよくわからない」という人が少なくありませんでした。こうした人たちの声にこたえて「結果説明は3,000円(15分)」というオプションも用意しました。さまざまな選択肢を用意して、来場者の要望にそったメニューを増やしてきました。

関上 それは院長の発案なのですか?

山田 当院では4年前から、全員参加の経営手法として有名な故・稲盛和夫さんのアメーバ経営を取り入れてきました。

関上 そうなんですね。来院する人は札幌圏の人が多いのですか?

山田 東京からも来院者がいます。関東地方から見れば圧倒的に価格が安く感じられるのでしょう。道内では遠方の人も多いです。遠くはオホーツク海側の人とか。健康や医療に関して、意識の高い人が定期的に受診する印象がありますね。ご自身の仕事の閑散期に、1年に1回は必ず来るという人が増えました。「ここで診てもらえれば少なくとも1年間は安心だ」と言ってくれます。「LSI札幌クリニックにお願いしてよかった。あんたも行っておいで」という口コミを大切にしていますし、こうした声が増えるように心がけています。

関上 ところで、どのような経緯で院長になられたのですか?

山田 当クリニックの杉江広紀理事長と私は大学の先輩後輩の関係で、卒業後からのつきあいです。当時、杉江理事長は産業健診医として検診用のバス1台を購入して、その仕事を始めたばかりのころでした。旭川から「明日は稚内に日帰りで行ってくれ」とか「美幌に日帰りだから、朝4時集合ね」といった各地を回るチームの一員として動いていました。

関上 その後は?

山田 大学病院で20年ほど勤務した後、岩見沢の病院で内科を担当していて、当院には時々ヘルプで入っていました。何度も「院長にならないか」とお声をかけていただき、悩みに悩みました。もともと画像診断医でしたし、がんを早期に見つけて一人でも多くの人を救いたい、という思いで院長という重責を引き受けることにしました。

関上 そもそもは、どうして医者になろうと思ったのですか?

山田 母親がいつも「お医者さんっていいよ〜」と口ぐせのようにつぶやいていたことによります(笑)。親戚に歯科医が多かったこともあり、医者は身近な存在でした。生まれ育った場所の近くに旭川医大があったことも理由の一つですかね。しかし、受験は簡単ではなく、2浪して医大に入りました。ところが、入学して2年目の夏のこと。睾丸のがんを患ったのです。いろいろと大変な目にあいましたが、結局、半年かけて奇跡的に治りました。こんな経験もあることから、がんの人を早期発見するのはわたしの使命ではないかと感じているところです。

関上 若い頃にそんな壮絶な体験があったのですね。

山田 北海道のがん死亡率は全国と比較して高く、がんの罹患率も高いのです。にもかかわらず検診の受診率は低い。なので、がんは進行した状態で見つかり、処置のやりようがなく死に至るケースが非常に多いのです。こういった状況を少しでも改善したいと思っています。

関上 どういった人に来院してほしいですか?

山田 40歳代半ばから50歳代になって「そろそろがんや健康が気になる」という人でしょうか。60歳くらいから免疫力も下がってきますので、注意が必要になってきます。「親や親族ががん家系だったからちょっと心配になって」という方も多いですね。遺伝的な要素が色濃く出るのは乳がんや膵がんです。現在は2人に1人ががんが見つかる時代。そのうち3人に1人はがんで亡くなる時代です。でも、早期に発見できれば除去することができます。金銭に余裕があれば1年に1回、少なくとも2年に1度は受診してほしいと願っています。

関上 わたしもがんで苦しむ人が少なくなることを願っています。本日はお時間いただきありがとうございました。

[本文敬称略]

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