第27回目は、配転です。
配転とは、労働者の職務内容や勤務場所を長期にわたり変更することをいいます。このうち、他の事業所へ勤務地を変更(転居を伴う)するものは「転勤」、同一事業所内での部署の変更は「配置転換」と呼ばれています。同一の使用者の下での異動である点で「出向」とは異なり、長期の異動である点で「出張」や「応援」と区別されることになります。
日本では、労働者に多様な業務を経験させること、能力や適性に応じた配置の調整などを目的に多くの企業で行われ、配転命令は広く認められています。
配転命令は、就業規則に「会社は、業務上の必要がある場合には、従業員の就業する場所または従事する業務の変更を命ずることがある」といった規定があれば、命じる権限があるものとされ、このほか労働者から個別の同意を得ている場合にも行うことができます。
企業には広範な配転命令権があるとされていますが、①業務上の必要性がない場合、②不当な動機・目的が認められる場合、あるいは③労働者に対する不利益が通常甘受すべき程度を著しく超える場合には、配転命令は権利濫用として無効になるといった判例もありますので、一定の制約があります。
次回テーマは、「出向」です!
社会保険労務士 上戸 悠吏江(うえと ゆりえ)
2008年太田綜合法律事務所(現PLAZA総合法律事務所)。2018年社会保険労務士登録。北海道出身。