第86回目は、同一労働同一賃金③です。
前回は、同一労働同一賃金における不合理な待遇差を判断するための「職務の内容」「変更の範囲」「その他の事情」という3つの考慮要素について解説しました。
今回からは、具体的な待遇項目の中でも特に重要な「基本給」について、どのように点検・検討を進めるべきかを見ていきます。
同一労働同一賃金ガイドライン(指針)では、基本給、昇給、賞与、各種手当といった賃金にとどまらず、教育訓練や福利厚生など、あらゆる待遇について不合理な差の解消が求められています 。
基本給の原則的な考え方として、基本給は、正社員と非正規雇用労働者の間で待遇差が生じやすい、最も重要な賃金項目です。
基本給については、労働者の能力または経験に応じて支払うもの、業績または成果に応じて支払うもの、勤続年数に応じて支払うものなど、その趣旨・性格が様々である現実が認められています 。
事業主は、これらの基本給のそれぞれの趣旨・性格に照らして、実態に違いがなければ、同一の支給を行わなければなりません 。
違いがあれば、その違いに応じた支給を行わなければなりません。
基本給の決定基準が、職務の内容、職務の成果、能力、経験、勤続年数など、様々な要素を踏まえて決定されていることが多い点が、基本給の検討を複雑にしています。
次回テーマは、「同一労働同一賃金④」です!

社会保険労務士 上戸 悠吏江(うえと ゆりえ)
2008年太田綜合法律事務所(現PLAZA総合法律事務所)。2018年社会保険労務士登録。北海道出身。