『ビジネス法務』2025年6月号の「特集2」は「スポットワークとは何か〜企業・ワーカー双方のメリットと活用法」(執筆:石橋弘行弁護士)です。スポットワークは近年注目を集める、短時間・単発の新しい働き方です。企業側にとってもメリットがあるこの働き方の魅力や課題など、知っておくべき基本的な事項が説明されています。
- Ⅰ スポットワークとは何か
- Ⅱ スポットワークの歴史
- Ⅲ スポットワークの利用の流れ
- 1ワーカーが利用する場合
- 2企業が利用する場合
- Ⅳ 報酬体系
- Ⅴ スポットワークの使われ方
- 1ワーカーの活用例
- 2企業の活用例
- Ⅵ 提供している価値
- 1ワーカー側への価値
- 2企業側への価値
- Ⅶ 今後の課題
<PLAZA総合法律事務所の弁護士解説>
1 はじめに
本稿では、「短時間・単発の仕事」を指すものとして近時注目されている「スポットワーク」について、法的な観点から留意すべき事項が解説されています。(元執筆者:石橋弘行弁護士)。
2 スポットワークとは何か
「スポットワーク」とは、短時間・単発の仕事を指す言葉であり、「スキマバイト」や「単発バイト」などとして、近時使われるようになっている言葉です。
「スポットワーク」に似たものとして、Uber Eatsに代表される「ギグワーク」というものもあります。
両者は単発の仕事という点では共通していますが、「ギグワーク」は業務委託契約の方式を採るのに対して、「スポットワーク」では主に雇用契約の方式が採られています。
政府による働き方改革の推進が進められている中で、2018年9月に労働基準法施行規則が改正されて、従来は書面の交付に限定されていた労働条件の明示方法が緩和され、電磁的方法による明示が許容されるようになりました。
これを受けて、タイミーなどのスマートフォンを使用した雇用契約の締結手続きを履践するサービスが拡大しています。
3 ワーカーにとってのメリット
育児に追われている中で、自分の好きな時間に、好きなだけ、しかも現地での採用面接を行うことなく、スマホ上で雇用契約の締結を行うことができる点が一番のメリットです。そして、自身の働きぶりが評価されれば、育児期間後の正社員登用の道も確保できるなどの柔軟性も確保されています。
4 企業にとってのメリット
企業にとっても、繁忙期などにおいて必要な人材を必要なだけ確保することが容易になります。また、「スポットワーク」サービスを提供している事業者は、労働条件通知書の発行、賃金計算、源泉徴収票の発行なども行っているケースが多く、労務の管理コストの縮減につなげることも期待されています。
5 おわりに
今回もお目通しをいただき、ありがとうございました。
多様な働き方が出現している中で、ワーカー側も、企業側も、従来の働き方にとらわれない柔軟な方法に手を出すことができるようになりました。顧問先の皆様におかれましても、ぜひご検討をいただければと存じます。

弁護士 白石 義拓(しらいし よしひろ)
第二東京弁護士会所属。
2022年弁護士登録、同年PLAZA総合法律事務所入所。栃木県出身。

協力:中央経済社
公式サイト(http://www.chuokeizai.co.jp/bjh/)