第76回目は、職場における熱中症対策①です。
令和7年6月1日から職場における熱中症対策が強化され、労働安全衛生規則の改正が施行されました。この改正の主な目的は、熱中症の重篤化を防止することにあります。
熱中症とは、高温多湿な環境下で、発汗などによる体温調節機能がうまく働かず、体内に熱がこもってしまう状態を指します。特筆すべきは、屋外だけでなく、室内で何もしていない時でも発症する可能性があり、場合によっては死に至ることもあり得るという点です。
そのため、熱中症について正しい知識を身につけ、自身の体調変化に細心の注意を払い、同時に周囲の同僚にも気を配ることが、健康被害を防ぐ上で非常に重要です。今回の法改正により、事業者にはこれまで以上に具体的かつ新たな義務が課せられることとなり、職場における熱中症予防体制はより一層厳格化されることになります。
厚生労働省の「熱中症予防のための情報・資料サイト」では、熱中症に関する施策やリーフレット、診療ガイドラインなどが提供されており、環境省や気象庁、消防庁からも関連情報が発信されています。
次回テーマは、「職場における熱中症対策②」です!

社会保険労務士 上戸 悠吏江(うえと ゆりえ)
2008年太田綜合法律事務所(現PLAZA総合法律事務所)。2018年社会保険労務士登録。北海道出身。