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2023.4.11

[PLAZAパートナー図鑑 | 関上健一郎が訊く]コミュニケーションコンサルタントとして活動する元東海ラジオアナウンサー・青山紀子さん

  • 青山紀子(あおやま・のりこ)さん
  • コミュニケーションコンサルタント
  • オフィス ファシネイション代表

1970(昭和45)年、岐阜市生まれ。名城大学短期大学部卒業後、十六銀行に入行。名古屋テレビ放送、東海ラジオ放送のアナウンサーを経て、2017(平成29)年、フリーアナウンサーへ。ラジオパーソナリティとして2022年まで生放送を担当。中京大学、名城大学等大学非常勤講師、ワイン講師。2022年秋より、コミュニケーションコンサルタントとして活動。

  • 経営者から学生まで、5,000人以上の
  • スピーチを指導してきたプロフェッショナル

関上 青山さんは東海ラジオのアナウンサーとして活躍され、話し方インストラクターとしても活動されています。現在はどのような仕事がメインですか?

青山 2022年の秋から「コミュニケーションコンサルタント」として、企業の皆さまが抱えるコミュニケーション分野の問題解決をメインに活動しています。例えば、企業の社長や幹部クラスですと、大きな会場で自社のプレゼンテーションをする機会があろうかと思います。その際「もっと自社の魅力を伝えるには?」「自社製品の良さを伝えるには?」と、プレゼントレーニングをご依頼頂く場合があります。よくあるケースとして、部下である担当者がプレゼン資料を作るので、話す立場の社長や幹部と若干の思いのそごが出てくる場合があります。なので、内容・構成を話すご本人と一緒に考え、話し手の人柄を生かしたプレゼントレーニングを行なっています。トレーニングでは「その人らしさ」を一番大切にブラッシュアップしていきます。「無理なく理想に近づく」ということが目標です。企業の人材育成研修でも、ご依頼主の社長や人事担当者のご意見と、私自身が現場で感じる肌感を大切に、企業が目指すゴールに向けてその企業ごとにカスタマイズして提供しています。

関上 すごいですね。そのほかにはどのような活動を?

青山 大学の講師もしています。中京大学の文学部では「実践話術」。名城大学の法学部では「プレゼンテーション」などの授業を担当しています。毎回、学生にテーマを出し、スピーチ課題を書いてきてもらいます。講義ではそれをもとに発表を行い、瞬時に良かったところ、改善すべきところをフィードバックしていきます。中京大学では2年生、名城大学では1年生が主な対象で、就職活動も控えていますので、皆、真剣です。全15回の授業で、最終回には学生は飛躍的に成長しています。29年間のアナウンサースキルをあますところなくお伝えしています。

関上 長い間、アナウンサーをされていたのですね

青山 1994(平成6)年に名古屋テレビ放送に入り、1年半ほどテレビのアナウンサーを経験しました。その後、東海ラジオの局アナとして22年間。フリーアナウンサー、パーソナリティとして6年間。情報番組や報道番組に携わってきました。これまでインタビューをした人数は、1万人を超えると思います。アナウンサー時代に衝撃だったのは、テレビからラジオに移った時でした。なぜなら、「全く話せない自分」がいたからです。テレビでは、新人だったこともあり、ニュースやお知らせを読むぐらいで、フリーで何かを話すということはほぼありませんでした。しかし、ラジオでは新人でも一人で番組を担当し「フリートーク」が必須になるのです。相方がいる掛け合いの番組でも、会話を盛り上げることができず、知識も技術もなく、「できない自分」をラジオの現場で突きつけられました。そこで一念発起。「どうしたらリスナーさんが喜んでくれる話ができるのか?」「相手のパーソナリティの話を楽しく展開できるのか?」との思いで、知識や教養を深めることにしました。給料のほとんどを書籍購入やセミナー受講に費やし、余暇はラジオで話すネタ集めに没頭しました。自分の出演番組は全て録音して聞き直し、通勤中はポケットラジオで他局の放送を聞くなどしていました。同僚には内緒でボイストレーニングにも通い、声の技術も磨いていきました。

関上 すごい努力です。だから長く活躍できたのですね。ラジオの世界が好きなんですね。

青山 ラジオは大好きです。ラジオはテレビと比べてリスナーとの距離が近いですね。テレビ時代には発音は標準語が求められました。しかしラジオでは、ニュースこそ標準語でしたが、番組では名古屋弁で楽しくお話を展開する番組が人気でした。ですから

「となりの○○ちゃんが喋っている」という感覚になるんでしょうね。私もリスナーさんから「のりちゃん、のりちゃん」と言って可愛がってもらいました。生放送ということもあり、みんなと一緒にその時間を過ごし、一緒に番組をつくっているという一体感、チーム感がありました。

関上 生放送ならば、いろんなことがあったと思います。ハプニングとか失敗で印象に残っていることはどんなことですか?

青山 今だから言えますが、番組開始の5分前に起床した、ということがありました。起きてびっくり!朝寝坊です。担当ディレクターから電話がかかってきて、「スタジオからではなく、外からレポート中継をしている」ということにして、出演したことがありました。

関上 どうしてマスコミ業界、アナウンサーを目指したのですか?

青山 名古屋の短大を卒業して、地元の岐阜の銀行に就職しました。最初の3ヶ月は本店営業部、その後、広報課に配属になりました。銀行には4年在籍しました。広報課では、動画の社内報を制作し全支店に配布したり、採用活動や銀行のロビーでPR用として流すプロモーション動画の制作をしていました。私はその動画のキャスター役でした。新店舗の開店やイベントでは、司会を担当していました。銀行にいながら「話す」ことがメインの仕事だったのです。ところが、なかなか上手く話せず、忸怩たる思いで日々を過ごしていました。そんなある日、地元テレビ局のアナウンサーから講習を受ける機会があったのです。すると目からウロコ。話術はプロのアナウンサーに習った方がいいなと思い、銀行に勤めながらアナウンス学校へ通うことにしたのです。アナウンス学校では現役のアナウンサーが講師です。アナウンス学校卒業時に、ご縁があり「うちに来ませんか」と名古屋テレビ放送に誘われ転職をすることにしました。

関上 最初は銀行だったのですね。

青山 はい、よく最初からアナウンサーだったと思われますが、ちがうんです。実は銀行員時代の仕事も大好きで、はじめは自己研鑽のつもりでアナウンス学校に通っていたので、やめるつもりは全くありませんでした。たまたま放送局からお声をかけて頂いたので転職しましたが、お声がけがなかったら今も銀行員だったかもしれません(笑)。人生は不思議なものですね。目の前の仕事に対し、「上手くなりたい」との思いで一生懸命やっていただけですが、なぜか自分の特性が生かされる方向に自然に進んでいった感じがします。今ではアナウンサー歴の方が圧倒的に長いキャリアになりました。

関上 青山さんとのご縁は、オンライン開催された、とある「ビジネススクール」の受講生同士でした。半年くらいの間、クラスメイトという仲でしたね。1on1という個別ミーティングの時間もあり、親しくしていただきました。わたしはアナウンサーとかマスコミ業界の人と会ったことがなく、聞く話すべてが新鮮で、驚きしかなかったです。途中、わたしの「話し方」についてアドバイスもいただきました。

青山 関上さんの印象は、お堅い職業にもかかわらず、とても話やすい人でした。笑顔もすてきで。フレンドリーで人柄のよさがにじみ出ているように感じました。

  • ストレスのない人間関係のために
  • コミュニケーション技術を磨く

関上 ありがとうございます。わたしに少しアドバイスいただいた内容を研修として本格的にやっているのだとか。

青山 はい。企業などに出向いてレッスンもしていますし、オンラインや対面で、個人指導も行っています。個人指導は1時間2.2万円が基本です。企業研修については、随時相談としています。

関上 どういった人が参加されるのですか?

青山 社員さんの前で自分の思いをなかなか伝えられない社長さんや、業界団体で役員になり、定期的にお話する機会を持つ幹部の方など。ちょっとしたコツをつかむことで、話し方が劇的に変わります。経営者の人からは「自分らしく話せるようになれた」「社員に思いを伝えることができた」といった声や、学生さんからは「1社も内定が取れなかったが、2回のレッスンで2社内定がもらえた」という人もいるほどです。

関上 それはすごいですね。

青山 わたしはスピーチトレーナーとは名乗らず、コミュニケーションコンサルタントと名乗っています。最近は心理学も学び、ビジネスコーチングの要素も取り入れています。「話す」ことはもちろんですが、相手との関係性をよりよいものにして、お互いが笑顔でストレスなく人間関係を築けるようになるのが講座のゴールだと思っています。いつも笑顔でいる人も、穏やかそうに見える人も、実は、人間関係で悩んでいる人ってすごく多いです。でもそんな方々も、一緒にお話しているだけで、表情が柔らかくなったり、何か希望が見えてやる気が温度として伝わってくる瞬間があります。わたしも含め、人はメンタルの浮き沈みが日々あります。この精神面のコントロール、いわば、「自分で自分の機嫌を取る」ということが、ビジネスにおいてもプライベートにおいてもすごく大切になってきます。メンタルが安定すると、生きやすくなる。仕事が楽しくなります。人生が楽しくなる人をひとりでも増やすお手伝いをしたいと思っています。

関上 ああ、いいですね。そこは、わたしも大切なことだと思います。

青山 わたしは人が喜ぶことと同じくらい、自分の成長も好きです。モットーは「日々前進」。「昨日の自分を超える」ことです。人生100年時代。ならば、わたしは折り返し地点を過ぎたばかり(笑)。ここから再スタートという気持ちです。これからも、さまざまなことにチャレンジして、学んだことをしっかり「伝えて」いこうと思っています。

関上 本日はお忙しいところ、貴重なお話ありがとうございました。

(本文敬称略)

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