第31回目は、賃金②です。
労働基準法上の「賃金」に該当する場合、賃金支払い方法について、労働基準法24条で、基本となる5つの原則を定めています。①通貨払いの原則、②直接払いの原則、③全額払いの原則、④毎月1回以上払いの原則、⑤一定期日払いの原則です。
①通貨払いの原則
「賃金」は、通貨(現金)で支払わなくてはなりません。原則、現物支給は認められていません。ただし例外として、法令または労働協約に別段の定めがある場合は通貨以外のもので支払うことができます。
労基法施行規則では、労働者の同意を得ることを条件に、労働者が指定する銀行その他の金融機関の自己名義の預金口座・貯金口座および証券総合口座への振り込みまたは払い込みの方法によって支払うことができるとされています。
②直接払いの原則
「賃金」は、直接労働者本人に支払わなければなりません。労働者の代理人へ支払うこともできませんし、労働者が未成年であっても親権者への支払いをすることはできません。
なお、賃金が国税徴収法や民事執行法の規定に基づき差し押さえられた場合には,法律の手続に基づき行政官庁や差押債権者に支払うことは,直接払原則に違反しないものと解されています。
次回テーマは、「賃金③」です!
社会保険労務士 上戸 悠吏江(うえと ゆりえ)
2008年太田綜合法律事務所(現PLAZA総合法律事務所)。2018年社会保険労務士登録。北海道出身。