弁護士法人PLAZA総合法律事務所 PLAZA LOW OFFICE

【ビジネス法務】「中小M&Aガイドライン」改訂の要点と実務上のポイント

『ビジネス法務』2024年4月号の実務解説は「『中小M&Aガイドライン』改訂の要点と実務上のポイント」(執筆:髙井章光弁護士)です。「中小M&Aガイドライン」は2015年に中小企業庁にて策定されたガイドライン。その改訂に関して、要点と実務上のポイントが解説されています。

  • Ⅰ 「中小M&Aガイドラインー第三者への円滑な事業引継ぎに向けてー」の概要
  •  1事業承継問題への対応としてのM&Aの重要性
  •  2中小企業における戦略的M&Aの増加によるガイドラインの改訂
  • Ⅱ 「中小M&Aガイドライン(第2版)」の改訂内容
  •  1改訂の背景―M&A専門業者に対する規制の必要性
  •  2改訂の内容
  • Ⅲ 改訂の実務的意義
  •  1M&A専門業者に対する規律づけ
  •  2残された課題

<PLAZA総合法律事務所の弁護士解説>

本記事では、昨年9月に改訂された「中小M&Aガイドライン(第2版)」についての解説がなされています。

昨今、特に中小企業において、経営者の高齢化に伴い、経営権の承継に関する問題が少なからず見受けられます。特に、跡取りが不在の中小企業において、M&Aの手続による第三者への事業承継が模索される傾向にあります。「中小M&Aガイドライン」は、事業者がM&Aによる事業承継についての理解を深めるとともに、M&Aに関わる仲介者やアドバイザーの役割を明確にする目的で、中小企業庁により策定されたガイドラインです。

現状の中小企業のM&Aにおいて、取引価格についての疑義(仲介業者によって事業の譲渡会社・譲受会社のいずれか一方に有利な条件が設定されているとの疑義)、仲介業者の仲介手数料がわかりにくい、M&A仲介業者間におけるサービス内容や品質の差などが問題視されています。今回の改訂では、上記の問題に対応するため、M&A専門業者の善管注意義務・忠実義務の明記、重要事項説明書の交付義務の明記、M&A専門業者における士業等の連携・人材育成・適正な業務を確保する取り組みを行うことの明記等の改訂がなされています。

この点、「中小M&Aガイドライン」は法律ではないため、M&A仲介業者に対する法的拘束力はありません。もっとも、M&Aにおいて、公的機関による補助金の制度があるところ、M&A仲介業者が当該補助金を利用するにあたって、M&A支援機関登録制度に登録する必要があります。そして、M&A支援機関登録制度の登録にあたって、「中小M&Aガイドライン」を遵守することが求められています。そのため、M&A仲介業者が「中小M&Aガイドライン」に違反する対応を行った場合、M&A支援機関登録制度の登録が取り消されて補助金が受けられなくなってしまう可能性があります。よって、M&A仲介業者は、事実上、「中小M&Aガイドライン」に反するような対応を取ることができません。

事業承継を検討するにあたって、本記事及び「中小M&Aガイドライン」は有用です。この機会にぜひご一読ください。

弁護士 小熊 克暢(おぐま かつのぶ)

札幌弁護士会所属。
2020年弁護士登録、同年PLAZA総合法律事務所入所。北海道出身。

協力:中央経済社
公式サイト(http://www.chuokeizai.co.jp/bjh/

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