『ビジネス法務』2019年12月号の特集2は「GAFAをめぐる法規制」です。GAFAとは、グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾンのこと。本特集では、「新たな規制基準は必要か?“ GAFA規制”の競争法上の難点と目指すべき方向性」として、GAFAをめぐる世界各国の競争法規制の動向、問題点、わが国独自の動きなどについて考察されています。加えて、「プラットフォームビジネスと消費者保護」。「デジタル経済の進展に伴う国際課税の新しいあり方」についても言及レポートが掲載されています。その中で、「適切な規制へ向けた各国の立法・執行の動向〜プラットフォーム事業者による個人情報の取得・利用」に関して、欧州・米国・日本における独占禁止法の新しい指針(案)の公表や個人情報の取扱いに関連する法規制について、内外の動向について概観されています。
<太田・小幡綜合法律事務所の弁護士解説>
いわゆるGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)をはじめとするデジタル・プラットフォーマーは、利用者に対するサービスの提供に関連して、大量の個人情報やその他の情報・データを取得し、これらを活用することで急速にビジネスを拡大してきました。
他方で、デジタル・プラットフォーマーによる個人情報の漏えいや、不適切な取扱いのリスクが問題となっており、世界的にも個人情報・プライバシーの保護を強化する動きが活発になっています。
例えば、フランスでは、本年1月21日にGoogleに対して、GDPR(EU一般データ保護規則)違反を理由に巨額の制裁金を課したり、ドイツでは、本年2月にFacebook及びドイツ子会社に対して、競争制限禁止法違反を認定して違反行為の停止命令を下したりしており、海外では法規制の整備や執行が活発に行われています。
日本でも、公正取引委員会が、本年8月29日に「デジタル・プラットフォーマーと個人情報等を提供する消費者との取引における優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方(案)」を公表しました。新聞でも頻繁に取り上げられており、ご存知の方も多いかと思います。
本稿では、デジタル・プラットフォーマーによる個人情報の取得・利用に関し、個人情報保護法のみならず、上記公正取引委員会の指針案を踏まえた独占禁止法の観点からもその留意点について解説されています。
これらの規制は、GAFAやそれに準ずる大手企業だけが対象になるわけではなく、同様のサービスを提供する他の事業者にも当てはまるものであり、「対岸の火事」とはいえないものです。是非この機会にご一読ください。
(弁護士 京谷 周)