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【ビジネス法務】改正公益通報者保護法で見直す実効的な「内部通報制度」

『ビジネス法務』2020年8月号の「特集2」は「改正公益通報者保護法で見直す実効的な『内部通報制度』」です。2004年に制定された公益通報者保護法は、施行後も十分に機能せず、長年にわたり改正に向けた取組みが続けられてきました。とりわけ2015年に公表された消費者基本計画において、公益通報者保護制度の見直しを含む必要な措置の検討が示され、2016年に消費者庁において検討会が発足しました。公益通報者保護法の改正案が実現すれば、コンプライアンス経営へのプレッシャーが強まることが予想されます。本稿は「EU指令との比較でみる、公益通報者保護法の改正経緯と主要な変更点」が解説されています。

 

  • Ⅰ 公益通報者保護法改正に向けた経緯と主要な変更点
    Ⅱ 民間ガイドラインおよび認証制度への影響
    Ⅲ 日本版司法取引制度に与える影響

<PLAZA総合法律事務所の弁護士解説>

今般、企業のコンプライアンスはより高いレベルが求められるようになってきています。
本記事で紹介されている、公益通報者保護法(以下「法」といいます。)とは、企業不祥事が組織内部からの通報を起点として明らかになる場合に鑑み、「公益通報をしたことを理由とする公益通報者の解雇の無効等並びに公益通報に関し事業者及び行政機関がとるべき措置を定めることにより、公益通報者の保護を図るとともに、国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる法令の規定の遵守を図り、もって国民生活の安定及び社会経済の健全な発展に資することを目的」として定められた法律です(法1条)。
そして、昨今の内部通報者保護の重要性に対応し、上記法の改正法案が、令和2年6月8日、可決され、内部通報をより行いやすくするようになりました。
特に、着目すべき点としては、①内部通報体制の義務付け(法11条)、②通報者がより保護されやすくなったことが挙げられます(法2条1項等)。
①に関する改正内容は、従業員数が300人を超える企業については、内部通報を適切に対応するための窓口設定や、是正措置等の体制を義務付けるものです(従業員数300人以下の企業に関しては努力義務となっています。)。
また、②に関する改正内容は、現行法では保護される対象者として、「労働者」のみ定められていますが、改正法では、「退職者」や「役員」も追加され、保護の範囲が広がりました。
本記事には、上記改正点に加え、通報者の損害賠償責任の免除等の他の改正点についても解説されておりますので、是非ご参考にされてください。
企業に求められるコンプライアンスの基準が上昇していく中で、公益通報体制の具備及び公益通報者保護制度を確立し、企業不祥事に迅速かつ適切に対応するためにも、本記事をご確認頂ければ幸いです。

 

(弁護士 西尾 順一)

 


協力:中央経済社
公式サイト(http://www.chuokeizai.co.jp/bjh/)

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