弁護士法人PLAZA総合法律事務所 PLAZA LOW OFFICE

コラム

2020.11.4

【ビジネス法務】若手に伝える弁護士・法務部長の失敗学

『ビジネス法務』2020年11月号のテーマは「若手に伝える弁護士・法務部長の失敗学」。特集1は「取引先の経営危機・倒産時の法務対応」です。新型コロナの影響で、これまで堅実経営をつづけてきた事業者も、突然の事業環境の変化に対応しきれず資金繰りがひっ迫。一気に破綻の危機に陥ることも少なくありません。取引先の経営維持は、他人事ではなく自社の経営基盤の確保のためにも重要な課題となっています。本稿では、取引先の経営破綻を防ぐため、商流の川上・川下にある企業が取りうる方策について、場面を分けて検討がされています。

 

  • Ⅰ 商取引先の立場から
      1.商流の川下から川上(仕入先)の支援
    (1)原材料などの購入前倒し・買増し・発注の前倒し
    (2)支払いサイトの短縮、期日前支払
    (3)譲渡制限付債券の譲渡承諾、早期資金化
    (4)原材料の有償支給から無償支給への転換
    (5)購入価格の値上げ
      2.商流の川上から川下(得意先)の支援
    (1)支払い手形ジャンプ、支払いサイト延長・猶予
    (2)販売数量の抑制、販売価格の引き下げ
    (3)地代・賃料・リース料の支払い猶予
    (4)営業保証金の一部解放
      3.得意先・仕入先に共通する支援
    (1)出資による資本増強・信用力補完
    (2)子会社化によるグループ傘下への吸収、事業譲受け
    Ⅱ 金融機関の立場から
      1.貸付金のロールオーバー(返済猶予)
      2.当座貸越枠の拡張
      3.コミットメントラインの活用
      4.給付金・助成金支給、特別融資など実行までの期間のつなぎ融資
      5.在庫・債券譲渡担保融資
    Ⅲ 最後に

<PLAZA総合法律事務所の弁護士解説>

今般のコロナ禍によって、自社との取引先企業においても、資金繰りに窮し倒産の危機に瀕してしまう可能性があります。
取引先が倒産することによるインパクト、特に連鎖倒産のリスクは早々に下げておく必要があります。
本稿では、かなり実務的な側面から、取引先支援の方法が記載されており、仕入先の支援、得意先の支援、金融機関からの支援に分けて紹介されています。
まず、仕入先に関しては、原材料の買増しや購入の前倒し、支払いサイトの短縮等の支援方法が紹介されています。
仕入先に代替性がない場合、仕入先が倒産することによるインパクトは重大であるので、自社としては、なるべくキャッシュインして資金繰りを持たせてあげるような支援策が紹介されています。
他方で、得意先については、得意先の倒産によって、自社も連鎖倒産するリスクがあり、慎重に行動する必要があります。
得意先の倒産が確実視される状況であれば、債権の保全等の対応を行うことが通常ですが、一時的な売上高の減少によるもので業績の回復が見込める場合等では、手形をジャンプすること、支払いサイトを延長すること等の支援策が紹介されています。
自社としては、得意先が生き残るために、キャッシュアウトをできるだけ少なくするような対応が考えられます。
本稿では、その他にも抜本的な救済としてM&Aによる方法も紹介されているところです。
また、金融機関対応として、貸付金のロールオーバー、新型コロナ対策特別融資の活用などの方法も紹介されており、取引先のみならず、自社の資金繰り対策においてもご参考になるかと思います。
自社と取引先との関係は持ちつ持たれつの関係にある場合も多いと思われますので、その両者が生き残る方策の参考として、ぜひ本稿をご確認頂ければ幸いです。

(弁護士 西尾 順一)

 


協力:中央経済社
公式サイト(http://www.chuokeizai.co.jp/bjh/)

最近のコラム