弁護士法人PLAZA総合法律事務所 PLAZA LOW OFFICE

第20回目は、試用期間②です。

試用期間は、従業員と雇用契約を締結した状態で、継続して雇用できるかを見極める期間をいいます。したがいまして、試用期間は「まだ採用するかどうか選考中である」という意味ではありません。

判例によりますと、「使用者と試用期間中の労働者との間の契約関係は労働契約関係そのものにほかならないが、本採用に適しないと判断された場合には解雇しうるように解雇権が留保された労働契約である。」とあります。これは、使用者には労働者の不適格性を理由とする解約権が留保されているという意味です。では、試用期間終了後に、本採用拒否(留保解約権を行使)をできるのはどのような場合でしょうか。

留保解約権を行使することが認められるのは、採用決定時までに企業が知ることができなかった事情で、正社員としての適格性を失わせるといえる事情が試用期間中に発覚した場合などです。具体的には、著しい能力不足、協調性の欠如、著しい素行不良が発覚した場合などがあげられます。
留保解約権の行使は、「解雇」ですので、行使する場合には、解雇予告もしくは解雇予告手当が必要になります。試用期間中は、解雇をしやすいということは決してありませんので、運用にはご注意ください。

次回テーマは、「就業規則①」です!

社会保険労務士 上戸 悠吏江(うえと ゆりえ)

2008年太田綜合法律事務所(現PLAZA総合法律事務所)。2018年社会保険労務士登録。北海道出身。

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