『ビジネス法務』2023年2月号の実務解説では「令和4年消費者契約法・消費者裁判手続特例法改正の解説」が取り上げられています。2022年5月に消費者契約法および消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続きの特例に関する法律の一部を改正する法律が成立しました。その一部は、2023年6月1日から、その他の部分は2022年6月1日から1年半を超えない範囲で政令で定める日から施行されます。
- Ⅰ 消費者契約法改正の概要
- 1不当な勧誘行為の追加
- 2解約料説明の努力義務
- 3無効となる不当な契約条項へのサルベージ条項の追加
- 4事業者の努力義務の拡充
- Ⅱ 消費者裁判手続特例法改正の概要
- 1消費者裁判手続特例法とは
- 2制度の対象範囲の拡大
- 3和解の早期柔軟化
- 4消費者への情報提供方法の充実
- 5その他の改正事項
<PLAZA総合法律事務所の弁護士解説>
本記事では、令和4年5月25日に改正した消費者契約法及び消費者裁判手続特例法の改正内容についての解説がなされております。
現代社会において、有料サイトの不当請求や、振り込め詐欺、偽ブランド品の販売、マルチ商法等、消費者被害は後を絶ちません。我が国では、このような消費者被害の救済のため、上記2つの法律を含む様々な消費者保護法が整備されてきました。現在では、上記のような典型的な悪質商法に対する規定に留まらず、不当な勧誘行為についての定めや、企業側に説明義務を課すなど、様々な形で消費者保護が図られております。今回の改正によって、より一層消費者の保護が充実したものとなりました。
今回の改正において、消費者契約法では、主に、消費者が契約を取り消すことができる範囲の拡大、無効とされる契約条項の追加、事業者の努力義務の拡充がなされました。
中でも、解約料説明の努力義務が課されるようになったことは、本改正の大きなポイントの一つです。本記事では、解約料の説明を求められた際、事業者側がどのような説明をしなければならないかについて、具体的な説明例が記載されております。その他の改正点についても、想定される事例等を紹介するなど、非常にわかりやすい説明がなされており、消費者契約法改正への対策を行う上で、一読する価値があるものとなっております。
消費者裁判手続特例法では、改正内容として、主に、制度の対象範囲の拡大、和解の早期柔軟化、消費者への情報提供方法の充実化がなされました。
和解の柔軟化の内、消費者問題で裁判になった際に、事業者がポイントやクーポン等を提供する形での和解が可能になる等、様々な和解方法が可能となったことは本改正の重要な改正点の一つといえます。本記事は、こういった具体的な改正点を理解するうえで、大変参考になります。
このように、本記事では、今回の消費者契約法及び消費者裁判手続き特例法の改正内容について、具体的な事例等に触れつつ、詳細かつ丁寧な説明がなされております。今後の契約のあり方を見直す上で重要な指針を示すものとなっておりますので、ぜひ一度ご覧ください。
弁護士 髙木 陽平(たかぎ ようへい)
札幌弁護士会所属。
2022年弁護士登録。2022年PLAZA総合法律事務所入所。北海道出身。
協力:中央経済社
公式サイト(http://www.chuokeizai.co.jp/bjh/)