弁護士法人PLAZA総合法律事務所 PLAZA LOW OFFICE

【ビジネス法務】現民法下における割合的報酬請求・契約不適合責任

『ビジネス法務』2021年5月号の特集2は「システム開発契約をめぐる5つの課題」です。その中に、「現民法下における割合的報酬請求・契約不適合責任」と題して解説がなされています。

  • Ⅰ 割合的報酬請求
  •  1改正の内容
  •  2割合的報酬請求と一部解除
  •  3ベンダに帰責性がある場合の割合的報酬請求に対するユーザーの対応
  •  4システム開発契約の中途終了における「ユーザーの利益」の存在
  •  5システム開発契約における多段階契約の活用
  •  (1)多段階契約のメリット
  •  (2)多段階契約のプロジェクトが全工程の中途で終了した場合の対応
  • Ⅱ 請負の契約不適合責任の適用範囲
  •  1改正の内容
  •  2契約不適合責任における完成概念
  •  3契約不適合責任の存続期間

 <PLAZA総合法律事務所の弁護士解説>

120年ぶりと言われる大規模な改正がされた民法が令和2年4月に施行されてから、1年余りが経過しました。本稿では、改正中、請負契約に関する、①割合的報酬請求権の規定が明文化のほか、②契約不適合責任に関する変更点について解説が加えられています。

⑴ 割合的報酬請求権・・・注文者の責めに帰すことができない事由によって仕事を完成することができなくなったとき、または仕事の完成前に解除されたときで、既になされた仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなし、仕事の完成前であっても、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができるという権利を言います(民法634条)。
可分、かつ、既に仕事をした部分により利益を受けるということが要件となるところ、システム開発契約を例として適用の在り方が検討されています。また実務上の工夫である、作業工程ごとに個別契約を締結することでセグメント化し、細かく仕事の「完成」が観念されるようにする「多段階契約」についても触れられております。

⑵ 契約不適合責任・・・改正前の民法では、契約の目的・対象とされた物に不備があった場合に関し、売買契約と請負契約とで、異なった規律がなされていました。しかし、改正後の現民法においては、規律が異なる合理性に乏しいということで、売買契約における契約不適合責任の規定を、請負契約においても適用する(「準用」といいます。)ということになり、統一的に規律されることとなりました。従前異なっていた規律を統一したため、請負に関してどのように適用されるのかについては「個別の解釈論」に委ねられることとなり、個別の事案に対する判断の積み重ねが期待されるところです。この責任の存続期間が、従来の「引き渡した時から1年」から、「不適合を知った時から1年」に改正され、大幅な延長となりうるほか、責任追及に際して要する「通知」の内容も不適合の内容を把握できる程度のものであれば足りるとされ、緩和されております。

割合的報酬請求は旧来からの判例の考え方を明文化したものですが、契約不適合責任に関する改正は実質的な変更を含み、実務への影響も大きいと考えられます。改正後の民法に触れ、ご理解いただくのに役立つ記事と思われますので、是非この機会にご一読ください。

(弁護士 菊地 紘介)

協力:中央経済社
公式サイト(http://www.chuokeizai.co.jp/bjh/

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