『ビジネス法務』2021年4月号の実務解説は「企業の意思決定に関する書面・対面規制の現状と解決方法」です。会社の機関による意思決定は「対面」での効率的な意見交換の後、意思決定がなされ、その過程と結果が「書面」で記録されることが当然の前提です。コロナ禍の長期化も予想される現状で、「対面」「書面」の要請をどのように克服するか。本稿ではその解説がされています。
- Ⅰ 取締役会
- 1取締役会の招集
- 2取締役会の開催方法
- (1)リモート取締役会
- ア)全取締役が各々の所在場所から取締役会に参加することも可能
- イ)リモート取締役会における実務上の留意点
- ウ)リモート取締役会議事録中の「取締役会が開催された・・・場所」
- エ)利害関係取締役を含む審議方法の工夫
- (2)書面決議
- (3)取締役会議事録の電子化
- Ⅱ 指名委員会、監査委員会および報酬委員会
- 1指名委員会等の招集
- 2指名委員会等の開催方法
- (1)リモート指名委員会
- (2)指名委員会等では、書面決議を利用することはできない
- Ⅲ 監査役会の決議・監査役の協議・監査等委員会の決議
- 1監査役会の決議と協議、監査等委員会の決議との峻別
- (1)監査役会の決議と協議
- (2)監査等委員会の決議
- 2リモート監査役会への決議
- (1)リモート監査役会の決議
- (2)リモートでの監査役の協議
- Ⅳ 株主総会
- 1新しい株主総会の開催方法の模索
- 2ハイブリッド型バーチャル株主総会をめぐる論点
<PLAZA総合法律事務所の弁護士解説>
本記事では、未だ新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない昨今における、企業の意思決定機関のコミュニケーションのあり方、意思決定手続上の留意点や工夫等が紹介されています。なお、本記事は、公開会社である株式会社の意思決定機関を対象としていますが、リモート会議時に通信障害が発生した場合の対応等、他の会社における意思決定機関のリモート会議の局面でも妥当する対処法が記載されていることから、公開会社である株式会社以外の会社の方々がご覧いただいてもご参考になるものと存じます。
本記事で取り上げられている一例をあげると、リモートによる取締役会決議における実務上の留意点として、①決議中に通信障害が発生した場合の対応を事前に取り決めておくこと、②通信障害が発生した場合に備え、取締役会の再開・中断等の判断権限を有する議長と事務局との連絡を緊密にできるようにしておくこと、等が取り上げられています。
また、本記事では、経済産業省が令和2年2月26日に公表したハイブリット型バーチャル株主総会の実施ガイド等についても取り上げられており、ハイブリット型バーチャル株主総会をめぐる実務上の問題点が紹介されています。
この機会に是非ご一読いただければと思います。
(弁護士 小熊 克暢)
協力:中央経済社
公式サイト(http://www.chuokeizai.co.jp/bjh/)