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【ビジネス法務】消費者契約法令和4年改正

『ビジネス法務』2022年10月号の特集は「2022年通常国会で成立した主なビジネス法案」です。その中で、免責の範囲が不明確な条項が無効になる「消費者契約法令和4年改正」というものがあります。事業者にとって一定の影響がある改正がなされたことから、この令和4年改正の概要と実務上の留意点について紹介されています。

  • Ⅰ 令和4年改正の全体像
  • Ⅱ 主要な改正事項と実務上の留意点
  •  1 免責の範囲が不明瞭な条項
  •  2 解約料の説明の努力義務
  •  3 事業者の努力義務の拡充
  • Ⅲ おわりに

 <PLAZA総合法律事務所の弁護士解説>

令和4年6月1日に消費者契約法の法改正(以下「令和4年改正」といいます)が行われ、適格消費者団体の事務に関する改正規定を除いて令和5年6月1日に施行されます。
まだ施行されていないため先の話になるのですが、事業者にとって改正により影響を受ける事項も多く、あらかじめ準備しておく必要があります。本記事はそのような実務上の留意点の説明が充実しておりますので、ご紹介いたします。
令和4年改正では、大きく分けて、4つの項目の改正がありました。①契約の取消権の追加(改正後4条3項)、②解約料の説明の努力義務(改正後9条2項、12条の4)、③免責の範囲が不明確な条項の無効(改正後8条3項)、④事業者の努力義務の拡充(改正後3条1項等、12条の3及び5)です。本記事では、この中でも事業者との関係で重要度の高い②③④について解説がなされております。
まず、免責の範囲が不明確な条項の無効についてです。消費者契約法では、事業者の債務不履行又は消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為により消費者に生じた損害を賠償する責任の一部を免除する消費者契約の条項であって、当該条項において事業者、その代表者又はその使用する者の重大な過失を除く過失による行為にのみ適用されることを明らかにしていないものは、無効とする(改正後8条3項)と定めました。すなわち、事業者の損害賠償責任の一部を免除する条項のうち、当該条項が軽過失の場合のみを対象としていると明らかにしていないものは無効とすることが新たに規定されました。現時点でお使いの契約書上に、これに反する条項がある場合は、改正法の施行までに修正する必要があります。
次に、解約料の説明の努力義務についてです。事業者は、消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項に基づき損害賠償又は違約金の支払を請求する場合において、当該消費者から説明を求められたときは、損害賠償の額の予定又は違約金の算定の根拠の概要を説明するよう努めなければならないこととなりました(改正後9条2項)。適格消費者団体にも同様の努力義務が課されておりますが、一部要件や説明内容が異なるので注意が必要です。要件等の詳しい内容は、本記事にまとまっておりますのでそちらをご覧ください。
続いて、事業者の努力義務の拡充です。契約締結時だけでなく、解除時に解除権行使に必要な情報を提供する努力義務(改正後3条1項4号)及び、民法上の定型約款の表示請求権に関し情報提供する努力義務(第3条1項3号)を導入したことが特徴的です。
 本記事では、令和4年改正のポイントや実務上の運用の注意点について詳しい解説がなされておりますので、改正法が施行される前に本記事をお読みいただき施行後の取引に役立てていただきたいです。

(弁護士 小西 瑛郁)

協力:中央経済社
公式サイト(http://www.chuokeizai.co.jp/bjh/

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