近年使われはじめたことば、「レピュテーション」。直訳すれば、「評判・名声」という単語です。企業価値の創造、という概念を越えて、今日的には「市場における競争優位性や収益性を増大させる経済価値ある資産」と定義づけている経営学者もいます。このレピュテーションに対するリスクについて(株)メルカリの社内弁護士である岡本杏莉さんがインタビューに応えています。以下はその要旨です。
『ビジネス法務2月号』中央経済社pp.67-69「リスクの発現を防ぐ社内連携と法務の姿勢」
- ・企業にとってレピュテーションリスクの重要性は増してきている。
・リーガルリスクと異なり、実際にそのリスクをどう評価し、どのように回避するのかを考えなければならないのは企業自身。
・具体的な場面で、何を判断基準とすればよいかは難しい問題。何が正解かはわからない。広報部や事業部、経営陣の過去の経験を聞き、他社の事例を調べ、総合的に時流にあった判断をするしかない。
・「メディアでこのようなことが報道されている」、「Twitterでこんなことが話題になっている」という情報で、その中にレピュテーションリスクにつながり得るものに気がつけば個別に対応していくことになる。
・過去、メルカリでは「夏休みの宿題」が出品されたことがあった。議論の結果、出品禁止のプレスリリースを出した。何も対応しなければ当社のイメージ悪化にもつながり得る事案であった。
・レピュテーションリスクへの感覚を磨くことは、会社を経営していくうえで非常に大事なスキルだと思う。
<太田・小幡綜合法律事務所の弁護士解説>
本記事は、レピュテーションリスク(企業に対する否定的な評価や評判が広まることよる、企業の信用やブランド価値等の低下に伴うリスク)の管理の必要性や留意点について説明がなされています。
今回の記事では、①法的リスクと異なり、リスクとなり得るかどうか、なり得る場合に取るべき選択肢については正解が存在しないこと、その判断の際には、②徹底的に顧客目線に立つべきこと、そして最終的には③企業ごとのポリシーを基準として決定をすべきことが重要なポイントとして挙げられています。
レピュテーションリスクは、単なる法的リスクを超えたより広い意味での企業のリスクです。
本記事においては、会社の様々な部門が連携して対応すべきことや、対応の具体例が紹介されていますので、是非ご参考にして頂ければ幸いです。
(弁護士 山下 剛)
協力:中央経済社
公式サイト(http://www.chuokeizai.co.jp/bjh/)