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【ビジネス法務】AR広告をめぐる利益調整と法規制

『ビジネス法務』2021年6月号の特集2は「AR広告をめぐる利益調整と法規制」です。AR広告は、物理的な制約などを受けず、好きな場所に好きな内容の広告を表示することができます。こうした双方向性(インタラクティブ性)もあいまって、商品・ブランドなどに対する共感をユーザーにもたらしやすい広告と言えます。高い広告効果を期待できる手法ですが、法的課題に関する議論はあまり行われていません。本稿では従来の広告一般に関する裁判例などを整理した上で、AR広告に関する課題について考察がなされています。

  • Ⅰ AR広告の特徴
  • Ⅱ AR広告は他者の「広告を見てもらう利益」を侵害するか
  •  1問題の所在
  •  2裁判例の整理
  •  3AR広告についての考え方
  • Ⅲ AR広告に屋外広告物法・条例が適応されるか
  •  1概要
  •  2AR広告は「屋外広告物」か?

 <PLAZA総合法律事務所の弁護士解説>

 本記事では、今後普及が見込まれるAR広告に関する法的問題や法規制の要否についての考察がなされています。
 ARとは、「Augmented Reality(拡張現実)」の略であり、実在する風景にスマートフォン等のデバイスを向けた際に、デバイス上にバーチャルの視覚情報を表示することで目の前の世界を仮想的に拡張する、という技術の事を指します。AR広告の特徴として、場所を移動したり、デバイスをかざしたりといったユーザーの動作に合わせて起動し、再生し、変化することが挙げられ、2次元的にみることに重点を置く従来の広告に比して体験を提供しやすい、ということが挙げられます。また、AR広告の特徴として、物理法則等による制約を受けず、空間的にも内容的にも自由な表現が可能となる、ということも挙げられます。このように、高い広告効果が見込まれるAR広告ですが、わが国では、AR広告をめぐる法的問題について、現状、ほとんど議論がなされていません。そこで、本記事では、AR広告の普及により将来発生しうる法的問題点について取り上げた上で、どのような場合にAR広告の広告主が法的責任を負うのかにつき考察を加えるとともに、AR広告をめぐる法規制の要否について検討が加えられています。
 まず、AR広告をめぐる問題として、AR広告により、現実環境に設置された従来型の広告が見えにくくなる事態が発生した場合、従来型の広告を行っていた者が、AR広告を行った者に対し、損害賠償等の請求をすることができるのか、といったものが挙げられます。かかる問題について、本記事の著者は、既存の広告物に関する裁判例を元に、現実環境に設置された広告につき、①AR広告に遮断されることなく期待した広告効果が得られると合理的に期待できる状況にあるか(法律上保護される利益といえるか)、②AR広告により現実環境に設置された広告表示がどの程度侵害されているかを踏まえ、個別具体的に判断される旨の見解を示しています。
 また、本記事では、AR広告に屋外広告物法点条例が適用されるのかどうかについても検討が加えられています。
 本記事では、今後普及の見込まれるAR広告をめぐる諸問題につき、既存の広告物に関する裁判例を分析した上で考察・解説がなされています。そのため、AR広告をめぐる諸問題のみならず、既存の広告物をめぐる諸問題についても理解を深めることができるため、是非この機会にご一読ください。

(弁護士 小熊 克暢)

協力:中央経済社
公式サイト(http://www.chuokeizai.co.jp/bjh/

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