弁護士法人PLAZA総合法律事務所 PLAZA LOW OFFICE

コラム

2021.8.19

【ビジネス法務】改正プロバイダ責任制限法の概要と成立の背景・経緯

『ビジネス法務』2021年8月号の特集3は「改正プロバイダ責任制限法の概要と成立の背景・経緯」です。2021年4月に、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限および発信者情報の開示に関する法律の改正案が成立しました。今回の改正は、インターネット上でなされる権利侵害投稿に関する発信者情報開示制度について大きな改革を行うものです。本稿では、改正の背景や経緯を見たのち、改正点の全体像が紹介されています。

  • Ⅰ 改正の背景・経緯
  • Ⅱ 今回の改正の概要
  •  1はじめに
  •  2ログイン時情報の開示
  •  3「新たな裁判手続」(発信者情報開示命令事件に関する裁判手続)
  •  4発信者の保護等
  • Ⅲ 裁判外(任意)開示の促進
  • Ⅳ 今後の課題等

 <PLAZA総合法律事務所の弁護士解説>

 本記事では、本年4月21日に改正案が成立した、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」(プロバイダ責任制限法)の概要と成立の背景・経緯についての解説がなされています。
プロバイダ責任制限法は、主に電子掲示板やSNS事業者等の管理者の表現の流通に関する損害賠償責任の制限についての規律と発信者情報開示請求の要件についての規律から構成されています。発信者情報開示請求とは、電子掲示板等に自身に関する名誉棄損表現や昨今大きな社会問題となっている誹謗中傷表現等が匿名で書き込まれた場合に、当該書き込みをした発信者を特定するために、電子掲示板等の管理者に対して、当該発信者のグローバルIPアドレス(インターネットの世界における住所のようなもの)等の開示を求め、これにより開示されたグローバルIPアドレス等を基に、プロバイダ(インターネット接続事業者等)に対して、当該発信者の住所・氏名等の開示を求める一連の手続を指します。発信者情報開示請求は、名誉棄損表現等による権利侵害行為を匿名で行った人物に対し、損害賠償請求等の法的手続をとるための前段階の手続であると言えます。

 本改正では、主としてこの発信者情報開示請求の制度に関する法改正がなされました。本記事で取り上げられている例を一つ挙げると、前述の発信者情報開示請求について、新たな裁判手続が創設されることとなりました。従前は、電子掲示板等の管理者に対する情報発信者のグローバルIPアドレス等の開示請求と、プロバイダに対する情報発信者の住所・氏名の開示請求の2つの別個の裁判手続を経る必要がありましたが、本改正により、一度の裁判手続でこれを行うことが可能となりました。これにより発信者情報開示請求の申立てから発信者情報が開示されるまでの期間が短縮される等といった効果が期待されます。

 本記事では、プロバイダ責任制限法の他の法改正の概要の説明もなされている他、裁判外において、プロバイダ等への任意の発信者情報の開示を求める際に参考となる「権利侵害明白性ガイドライン」の紹介等も行われています。この機会に是非ご一読ください。

(弁護士 小熊 克暢)

協力:中央経済社
公式サイト(http://www.chuokeizai.co.jp/bjh/

最近のコラム