弁護士法人PLAZA総合法律事務所 PLAZA LOW OFFICE

【ビジネス法務】炎上事案をもとに考える ソーシャルメディアガイドライン・ポリシー整備の重要性

『ビジネス法務』2021年9月号の特集2は「炎上事案をもとに考える ソーシャルメディアガイドライン・ポリシー整備の重要性」です。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)時代の必須対応。DX化が進む現代において、ソーシャルメディア・SNSはウェブマーケティングにおいて重要なツールになりました。これに伴い、企業の意図しない投稿による炎上事案も頻発しています。本稿では、黎明期を経て、次のステージに向かうSNSの利用に関するガイドライン・ポリシーについて解説されています。

  • Ⅰ ソーシャルメディアガイドライン・ポリシーの必要性
  • Ⅱ 企業の意図しない情報発信による炎上
  •  1従業員による情報発信
  •  2お客による情報発信
  •  3発信する情報の種類と重要性をふまえた対応
  •  4発信者の保護等
  • Ⅲ 企業の意図した情報発信による炎上
  • Ⅳ さいごに(そのほかの留意点)

 <PLAZA総合法律事務所の弁護士解説>

1.昨今、ソーシャルメディアやSNSは、ウェブマーケティングにおける重要なツールの1つになり、従業員だけでなく企業が積極的に利用するようになっております。
本記事は、ソーシャルメディアの利用に関するガイドライン・ポリシー(以下、「ガイドライン・ポリシー」という)と、炎上回避、炎上対応のポイントが解説されております。
 ガイドライン・ポリシーとは、基本的には社内限りのルールですが、策定した場合に対外的に公表を行う企業もあるようです。なぜガイドライン・ポリシーが有用であるかというと、①従業員の行動規範・指針が作成され、それを従業員に認識・理解してもらうことにより、炎上事例が起こらない可能性が高まる、②従業員の行動規範・指針に違反した従業員に対する厳正な対応を企業が取りやすくなる、からだそうです。
 そして、策定に際しては、企業の意図しない情報発信による炎上と、企業の意図した情報発信による炎上の2パターンを想定することが重要です。
以下、それぞれの炎上の対応策について紹介します。

(1)企業の意図しない情報発信による炎上
 従業員による情報発信による炎上に備えて、世間で起きた過去事例を自社に当てはめた仮想事例を作成し、自社の場合、火種となりそうな業務はどこか、炎上した場合の対応についての研修を行い、正規社員だけでなく入社前の実習生やインターン生にも理解させます。
 また、発信した情報の内容が、会社の営業秘密等であった場合に備え、社内で情報管理規定を作成のうえ、情報管理規定とガイドライン・ポリシーが相互に連動した内容となっているよう定期的にチェックすると良いです。

(2)企業の意図した情報発信による炎上
 企業が意図してSNSの企業アカウントを作成したものの、SNS担当者が不適切発言をしたとして炎上することが増えています。
 背景には、価値観の多様化、人権意識の高まり等があるため、①SNSアカウントの担当者を複数名とする、②企画の検討にあたっては価値観の多様性やジェンダーを意識する、③企画の公表の前に社内で多くの意見をもらう、④外部専門化に依頼する、などをガイドライン・ポリシーにルール化すると良いです。

2.その他、SNSを炎上させた従業員への懲戒処分の可否や、炎上させた客の違法な言動に対する法的請求についても記事で紹介されております。是非お読みください。


(弁護士 櫻井 彩理)

協力:中央経済社
公式サイト(http://www.chuokeizai.co.jp/bjh/

最近のコラム