『ビジネス法務』2022年1月号の実務解説は「バーチャルオンリー株主総会実施に係る改正定款・招集通知モデルの解説」です。全国株懇連合会は2021年7月に「場所の定めのない株主総会」(バーチャルオンリー株主総会)に対応する定款モデルと招集通知モデルの改正を行いました。現状では、バーチャルオンリー株主総会を利用する上場会社が大幅に増加するとまでは見込まれていません。しかし、バーチャルオンリー株主総会に対応する定款変更を行った企業だけでなく、実際にバーチャルオンリーの株主総会を実施した企業も登場しています。こうした改正に関してのポイントが解説されています。
- Ⅰ はじめに
- Ⅱ 定款モデルの改正
- Ⅲ 招集通知モデルの改正
- 1株主総会を場所の定めのない株主総会とする旨
- 2書面による事前の議決権行使を認める旨
- 3株主総会の議事における情報の送受信に用いる通信の方法
- 4書面またはインターネットにより事前に議決権を行使した株主がバーチャルオンリー株主総会に出席した場合の事前の議決権行使の効力の取扱い内容
- 5バーチャルオンリー株主総会の議事における情報の送受信をするために必要な事項
<PLAZA総合法律事務所の弁護士解説>
本記事は、「場所の定めのない株主総会」、いわゆるバーチャルオンリー株主総会が2021年6月16日に公布・施行された「産業競争力強化等の一部を改正する等の法律」によって可能になったことを受け、全国株懇連合会が作成したバーチャルオンリー株主総会の定款モデルと招集通知モデルについての解説記事となっております。
バーチャルオンリー株主総会とは、物理的な会場を用意せず,役員や株主がインターネット等の手段により出席する株主総会のことで、日本では、実際に株式会社ユーグレナ、グリー株式会社、freee株式会社で開催されました。
バーチャルオンリー株主総会を実施するには、まず定款でバーチャルオンリー株主総会を開催できる旨を定める必要があります。また、招集通知には、インターネットや電話など、「株主総会の議事における情報の送受信に用いる通信の方法」を決定して記載する必要があります。そして、「通信の方法に障害が発生した場合の対策についての方針」も記載しなければなりません。本記事では、これらの記載しなければならない項目が詳細に解説されております。
バーチャルオンリー株主総会に対応する定款変更議案は2021年6月から8月までの間に計17社で可決されております。これらの会社の動きは、将来の感染症の感染拡大や天災地変への備えという意味もあります。本記事をご覧の皆様においても定款変更を行い、将来の選択肢の中にバーチャルオンリー株主総会を増やしておき、仮に物理的な会場で株主総会ができなくなった場合でもスムーズにバーチャルオンリー株主総会に移行できるようにされると良いでしょう。
(弁護士 櫻井 彩理)
協力:中央経済社
公式サイト(http://www.chuokeizai.co.jp/bjh/)