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【ビジネス法務】株主総会2022〜バーチャル株主総会の要点

 『ビジネス法務』2022年3月号の特集は「株主総会2022」です。これまで、多くの株式会社が新型コロナウィルス感染拡大防止の観点から株主総会への来場自粛を株主に要請したものと思われます。一方で、株主との対話を維持・促進する観点などから、いわゆる「バーチャル株主総会」を実施する例が増加しています。本稿では、いわゆるバーチャル株主総会の実施をこれから検討する会社向けに実務的な観点からバーチャル株主総会の要点がまとめられています。

  • Ⅰ バーチャル株主総会とは
  •  1 バーチャル株主総会の3類型
  •  2 特徴、メリット・デメリット
  •  3 各類型の実務状況
  • Ⅱ バーチャルオンリー型の開催を可能とする産業競争力強化法
  • Ⅲ バーチャル株主総会の検討事項
  •  1 バーチャル株主総会開催の目的
  •  2 サービス事業者の選定など
  •  3 招集通知の記載方法
  •  4 撮影方法
  •  5 本人確認方法
  •  6 質問・動議の受付方法
  •  7 秩序維持の方法
  •  8 採決の方法
  •  9 通信障害などがあった場合の対応
  • Ⅳ まとめ 

 <PLAZA総合法律事務所の弁護士解説>

 本記事では、近年増加しつつある「バーチャル株主総会」の類型・各類型の特徴・実施に向けての検討事項等についての解説が行われています。
 「バーチャル株主総会」とは、株主等がインターネット等の手段を用いて出席・参加することができる株主総会のことを指し、大別して次の3つの類型に分けられます。
 1つめは、⑴ハイブリット参加型の株主総会です。ハイブリット参加型の株主総会とは、リアルの場での株主総会の開催に加え、開催場所に在所しない株主が、インターネット等の手段を用いて審議等を確認・傍聴することができる株主総会を指します(但し、バーチャル参加株主は、あくまでも総会に「参加」できるだけであり、総会当日の議決権行使や質問等はできません)。当該総会のメリットとしては、会場の規模を縮小出来ること、他の類型のバーチャル株主総会と比べて決議取消等のリスクが極めて低いこと等が挙げられます。他方で、当該総会のデメリットとしては、バーチャル参加株主の総会当日の権利行使ができないこと等が挙げられます。
 2つめは、⑵ハイブリット出席型の株主総会です。こちらは、⑴とは異なり、バーチャル出席株主についても議決権等の権利行使が認められます。他方で、株主総会の開催中に通信障害等が発生し、バーチャル出席株主が途中で当該総会に出席できなくなった場合、決議の効力に影響が生じうる等の不都合もあります。
 3つ目は、⑶バーチャルオンリー型株主総会です。こちらは、リアルの場での株主総会を行わず、インターネット等による株主総会のみを開催するものです。こちらは、⑴や⑵とは異なり、株主の権利行使等が制限されることはありませんし、会場の確保も当然不要となります。もっとも、通信障害等が発生した場合の影響が大きく、リアルの場での質疑応答等を望む株主の機会損失等の不都合もあります。
 このように、各「バーチャル株主総会」は、それぞれ一長一短の特徴を持っています。
 本記事では、他に「バーチャル株主総会」を実施するにあたっての検討事項の説明が簡潔になされています。また、ハイブリット型の株主総会については、経済産業省作成の「ハイブリット型バーチャル株主総会の実施ガイド」において、より詳細な解説や実施例の紹介がなされています。この機会に是非ご一読ください。


(弁護士 小熊 克暢)

協力:中央経済社
公式サイト(http://www.chuokeizai.co.jp/bjh/

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