弁護士法人PLAZA総合法律事務所 PLAZA LOW OFFICE

【ビジネス法務】外資規制に関する各種法令の基礎および今後の動向

 『ビジネス法務』2022年2月号の実務解説は外資規制に関する各種法令の基礎および今後の動向」です。米中の貿易摩擦に端を発し、世界各国における外資規制の強化が進んでいます。2020年に外国為替及び外国貿易法が改正され、2021年に入ってから、メディアの外資規制違反事例を契機に外資規制の見直しが行われるなど、日本における外資規制が変化しています。本稿では、外資規制に関する各種法令の基礎知識として、外為法および各種業法における主な外資規制の概要が解説されています。

  • Ⅰ 外資規制の概観
  • Ⅱ 外為法による規制
  •  1外為法の対内直接投資規制の概要
  •  2免責制度
  •  3日本企業への影響
  • Ⅲ 事業法における主な外資規制
  •  1基幹放送事業者
  •  2電波、通信
  •  3航空、貨物
  • Ⅳ 今後の改正動向 

 <PLAZA総合法律事務所の弁護士解説>

 本記事では、日本における外資規制の概要や今後の動向についての解説が行われています。
 日本では、主に、外国為替及び外国貿易法(以下、「外為法」といいます。)による対内直接投資(日本企業が海外の企業等から投資を受けること)の規制の他、放送法や航空法等の各種業法による外資規制が行われています。
 まず、外為法による外資規制について、我が国の安全、公の秩序、公衆の安全及び我が国経済の円滑な運営の観点から、一定の業種についての対内直接投資等につき、外国投資家に事前届出(事前審査)や事後報告を行うよう義務付けています。昨今、ソフトウェア業や感染症医薬品製造業のように、事前届出等を要する業種が増えており、事前審査の対象となる取引が3~4年前と比較して倍増しています。他方で、2020年外為法改正により、一定の免除基準を遵守することを条件として事前届出義務が免除される制度も導入されています。自社が海外の企業と資本業務提携を行う場合や外国投資家等から出資を受ける場合等において、投資家による事前届出・審査の問題が発生する可能性がある点にご留意ください。
 また、各種業法による規制について、放送電波の有限希少性の観点や領空主権の観点から、放送法や航空法等によって、基幹放送事業者や航空運送業者等につき、外資規制が行われています。各種業法の規制の詳細については、本記事をご確認ください。なお、放送法による外資規制について、昨年、外資規制違反事例が複数件判明しました。これを踏まえ、現在、政府では、放送法による外資規制をはじめとして、各種業法による外資規制につき、規制の緩和や規制の撤廃等の法改正を行うことが検討されています。今後の動向に注視する必要があります。
本記事は、今後、外国企業との資本提携を検討している方や外国投資家から出資を受けることを検討している方にとって、特に有用であると思われますので、この機会に是非ご一読ください。


(弁護士 小熊 克暢)

協力:中央経済社
公式サイト(http://www.chuokeizai.co.jp/bjh/

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