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【ビジネス法務】その広告大丈夫?法務部が知っておくべき景表法の最新論点

『ビジネス法務』2023年11月号の新連載は「その広告大丈夫?法務部が知っておくべき景表法の最新論点」です。その第1回目は「No.1表示」(執筆:渡辺大祐弁護士)。不当景品類及び不当表示防止法について近時特に注意すべき論点について解説されています。

  • Ⅰ 導入
  • Ⅱ No.1表示とは
  •  1総説
  •  2No.1表示の要件
  • Ⅲ 近年の動向および論点
  •  1措置命令
  •  2イメージ調査
  • Ⅳ 設問の解説
  •  1設問①
  •  2設問②
  • Ⅴ まとめ

 <PLAZA総合法律事務所の弁護士解説>

1 はじめに

「No.1表示」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。 

実店舗でも、オンラインでも「売上1位」、「顧客満足度No.1」、「合格実績1位」などと謳う広告を目にすることがしばしばあります。このように自社のことを1位と謳うものを「No.1表示」といいます。

我が国では、不当景品類及び不当表示防止法(以下「景品表示法」といいます。)という法律が整備されており、不当な景品類及び不当な表示について規制されているため、No.1表示が、不当表示として、景品表示法に違反するおそれがあります。

2 「No.1表示」の要件

もちろん、No.1表示をすること自体が一切許されないのではなく、No.1表示が、実際には1位ではないにもかかわらず、1位と表記されているなど、実態に即していない場合に、No.1表示が不当な表示として景品表示法に違反することになります。

No.1表示が、不当表示とならないためには、①No.1表示の内容が客観的な調査に基づいていること、②調査結果を正確かつ適正に引用していることの両方を満たす必要があります。

①の客観的な調査といえるためには、a 当該調査が関連する学術界又は産業界において一般的に認められた方法によって実施されていること、又は、b 社会通念上及び経験則上妥当と認められる方法で実施されていることが必要です。

②の調査結果の正確かつ適正な引用といえるためには、主にa 商品等の範囲、b 地理的範囲、c 調査期間・時点、d 調査の出典といった事項について、事実と異なる表示をしたり明瞭に表示しないこと等により、No.1表示が示す内容と調査結果とが乖離していないこと、一般消費者が誤認しないものであることが必要になります。

3 具体事例

ある化粧品が、2018年に、「化粧品通販売上高第1位」を獲得したところ、その化粧品販売会社が、現在、「化粧品売上高No.1」といった表示をしています。このように表示することに、景品表示法上問題はないのでしょうか。

まず、当該化粧品が第1位を獲得したのは、通信販売においてですから、そのような限定を付することなく単に「売上第1位」と表示することは、通信販売に限らず全ての販売方法を含めた売上高が1位であるかのように一般消費者が誤認する可能性があるため、不当表示となるおそれがあります。したがいまして、「通販売上第1位」というように販売方法が通販であることを明示するといった対応が必要になります。

次に、当該化粧品が通信販売において売上高第1位を獲得したのは5年前(2018年)であるところ、現在(2023年)において特に時期を記載することなく第1位である旨表示していることは、一般消費者が直近の売上高が第1位であったと誤認する可能性があるため、この点についても不当表示となるおそれがあります。したがって、「2018年売上高第1位」というように売上第1位を獲得した時期(2018年)を明記するといった対応が必要になります。

4 おわりに

今回は、景品表示法違反になるおそれがあるNo.1表示についての解説を紹介させていただきました。本記事は、設問形式により、事例を基に、景品表示法違反になるおそれがないかの解説もなされており、非常にわかりやすいものとなっております。

自社の広告等の表示が、一般消費者を誤認させるものでないか、法に触れるものでないか、見直す際の参考にもなりますので、是非一度ご覧いただけますと幸いです。

弁護士 髙木 陽平(たかぎ ようへい)

札幌弁護士会所属。
2022年弁護士登録。2022年PLAZA総合法律事務所入所。北海道出身。

協力:中央経済社
公式サイト(http://www.chuokeizai.co.jp/bjh/

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