『ビジネス法務』2025年2月号の「Trend Eye」は「L-EAP(リープ:従業員のための顧問弁護士)のしくみ-生産性UPの突破口」(執筆:中原明日香弁護士)です。弁護士による従業員支援プログラムに関して、解説されています。
- 企業の抱える生産性の課題
- 「従業員のための顧問弁護士」L-EAP
- EAP導入が日本で遅れている現状
- 効果とコスト−海外での報告・統計
- カスタマイズによるコスト調整
<PLAZA総合法律事務所の弁護士解説>
1 EAPについて
今回は、弁護士が、企業で働く従業員の皆様をサポートする制度についてご紹介させていただきます。
L-EAPの前提として、EAP(Employee Assistance Program)(従業員支援プログラム)という制度を皆様ご存知でしょうか。
EAPとは、従業員のメンタルヘルスやストレス管理をサポートするための企業のプログラムのことをいいます。従業員が仕事や私生活で抱えるさまざまな問題(職場での生産性低下につながる要因)に対して、専門家による相談支援を提供し、生産性を回復・向上させるものです。日本ではまだ諸外国ほど普及していませんが、大企業や外資系企業を中心にEAPが導入され、メンタルヘルスケアを行う企業が増加しています。
EAPの導入により、メンタルヘルス改善と業務パフォーマンスの向上に効果があり、その結果として欠勤や離職の減少など、企業側にも明確な経済的メリットがあることが海外の統計データから示されています。
2 L-EAPについて
L-EAPとは、法的カウンセリングに特化したEAPともいえ、従業員が法的な問題に直面した際に相談支援を提供する、弁護士による従業員支援プログラム(Lawyers-Employee Assistance Program)(通称「リープ」)のことをいいます。
企業で働く従業員は、人生の様々な局面で、「お金のトラブルに巻き込まれた・・・」「夫・妻と喧嘩、離婚でもめている・・・」「子供がトラブルに巻き込まれた・・・」「交通事故で怪我をした・・・」「親が高齢。介護、相続でもめている・・・」「仕事以外のことで仕事に集中できない・・・」「仕事中に連絡がくる・・・」など、仕事外でも、法的な問題に悩まされ、ストレスを抱えることがあります。
このようなときに、弁護士から適時・適切に法務カウンセリングを提供することで、仕事への影響を無くし、業務パフォーマンスを向上させることができます。
3 コスト調整について
EAPのあらゆる要素とサービスを実施しようとすると、企業の経済体力に比してコスト負担が多大となる事態も生じます。そこで、従業員が抱える種々のストレス源のうち、法的問題により生じるストレスから従業員を早期解決する取り組みを低コストでスタートできるのがL-EAPです。
具体的な導入イメージとしては、1回30分、同じ案件は2回まで相談無料、利用できる対象は、従業員または役員、その配偶者、4親等内の親族まで、L-EAP顧問料月額500円×従業員数といったものになります。
このようにL-EAPの導入は、コスト面でハードルが低く、生産性向上の取り組みとして挑戦しやすい仕組みになっています。
4 おわりに
いかがでしたでしょうか。今回は、弁護士が企業で働く従業員の皆様をサポートする制度について紹介させていただきました。L-EAPは、従来の企業のための顧問弁護士とは別に、「従業員のための顧問弁護士」として、従業員の皆様が元気に笑顔でそれぞれの力を発揮できる、そんな職場づくりに寄与できる新しい制度といえます。
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弁護士 髙木 陽平(たかぎ ようへい)
札幌弁護士会所属。
2022年弁護士登録。2022年PLAZA総合法律事務所入所。北海道出身。
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協力:中央経済社
公式サイト(http://www.chuokeizai.co.jp/bjh/)