第15回目は「ドリームスタイラー事件」です。
本件は、虎ノ門にてカフェ・レストランを営むY社から、妊娠し時短勤務を希望したXが退職し、その適法性が問題となった事案です。
本件の争点としては⑴Xの退職が実質的に見て解雇にあたるか、⑵解雇に該当する場合、当該解雇は無効かつ違法なのか、⑶Xの労働時間、⑷Xは付加金を請求できるかが問題となりました。
そして、裁判所は退職は解雇とはいえず適法である、と示しました。
判断のポイントは、Y社が、Xの勤務について、Xの体調やY社の人員体制等を踏まえた調整を続けていく意向を有しており、Xの希望次第では契約社員やアルバイトへの雇用形態の変更も検討が可能という選択肢を示していた、と裁判所が判断したことにあるようです。
何らかの理由によって時短勤務を希望したり、退職を仄めかす従業員がいた場合、企業としては、誠実な対応を行い、アルバイトへの切り替えを提案する際にはあくまで選択肢の1つであることを強調する、など慎重に当該従業員と協議していく必要があるでしょう。
(弁護士 櫻井 彩理)