弁護士法人PLAZA総合法律事務所 PLAZA LOW OFFICE

第10回目は、裁量労働制①です。

裁量労働制とは、業務の性質上、業務遂行の手段や方法、時間配分等を大幅に労働者の裁量に委ねられる一定の業務に従事する労働者について、労働時間の計算を実労働時間の多寡にかかわらず、一定の時間労働したものとみなすことができる制度です。
この裁量労働制には、専門業務型裁量労働制と企画業務型裁量労働制があります。

今回は、専門業務型裁量労働制についてです。
専門業務型裁量労働制は、システムエンジニアやデザイナーなど法令で定める19の業務に限られ、実際の労働時間数ではなく、労使協定で定めた労働時間数を働いたものとみなす制度です。
専門業務型裁量労働制を導入するためには、導入する事業場ごとに、労使協定で次の①から⑦の事項を定め、所轄の労働基準監督署に届け出る必要があります。なお、労使協定は労働者に周知しなければなりません。
①対象業務、②対象業務に従事する労働者の労働時間として算定される時間、③対象業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し、当該対象業務に従事する労働者に対し使用者が具体的な指示をしないこと、④対象業務に従事する労働者の労働時間の状況に応じた当該労働者の健康及び福祉を確保するための措置を当該協定で定めるところにより使用者が講ずること、⑤対象業務に従事する労働者からの苦情の処理に関する措置を当該協定で定めるところにより使用者が講ずること、⑥労使協定の有効期間の定め(3年以内とするのが望ましい)、⑦上記④、⑤の事項に関する労働者ごとの記録を上記⑥の有効期間中及び当該有効期間の満了後5年間保存すること。
専門業務型裁量労働制で働く場合の労働時間については、労使協定で定めた労働時間を労働したものとみなされます。ただし、法定休日や深夜に労働した場合には休日割増賃金や深夜割増賃金を支払わなければなりませんので、注意が必要です。

次回は、「裁量労働制②」です!

社会保険労務士 上戸 悠吏江(うえと ゆりえ)

2008年太田綜合法律事務所(現PLAZA総合法律事務所)。2018年社会保険労務士登録。北海道出身。

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