第16回目は、年次有給休暇②です。
使用者は、年間10日以上の年次有給休暇が付与される労働者(※)に対しては、そのうち5日について、毎年時季を指定して与えなければならないとされ、有給休暇を必ず取得させなければならないこととなりました(※ここでいう労働者とは、正社員のほか、パートタイマーやアルバイトについても、年間10日以上付与される場合には、含まれます。)。ただし、労働者が自ら有給休暇を取得した日数や、計画的付与で付与した日数で、5日以上の有給休暇を取得できている場合は、会社側からさらに時季指定をし、5日取得させる義務はありません。
計画的付与とは、有給休暇のうち、5日を超える部分(例えば11日の有給休暇が発生していれば、6日分)について、労働者から有給休暇を取得したい旨の請求がなくても、使用者が有給休暇を強制的に付与できる制度です。計画的付与は、就業規則による規定と労使協定の締結が必要になります。なお、労使協定は労働基準監督署に届け出る必要はありません。労使協定内で、具体的に付与する月日を記載することになります。計画的付与は、事業所全体で同じ付与日とすることもできますし、グループ単位、個人別で付与日を決定することも可能です。
令和4年就労条件総合調査によりますと、令和3年の1年間に労働者が取得した日数は 10.3日で、取得率は58.3%となっており、調査開始以来過去最高となっています。
年次有給休暇について、ご質問がありましたら、いつでもご相談ください。
次回テーマは、「労働条件の明示」です!
社会保険労務士 上戸 悠吏江(うえと ゆりえ)
2008年太田綜合法律事務所(現PLAZA総合法律事務所)。2018年社会保険労務士登録。北海道出身。