『ビジネス法務』2021年2月号の特集は「コロナ不履行の契約法務」です。新型コロナウィルスの影響で、契約上の義務を履行できなくなってしまうこと(債務不履行)が多くおきています。新型コロナのような予見不能な事態が発生した際に、契約法務には何ができるのか。本特集では、履行不能・事情変更・再契約交渉義務・免責条項といった契約法理と現場の思考・交渉プロセスについて具体例をもって解説があります。その中で、「予見不能な事態の発生と契約関係の帰趨」と題して考察が掲載されています。
- Ⅰ はじめに
Ⅱ 契約不履行
1履行不能による履行請求権の排除
2一時的不能
Ⅲ 事情変更法理
1事情変更による契約改訂
2契約目的の不到達
Ⅳ 両法理の競合
<PLAZA総合法律事務所の弁護士解説>
本記事では、新型コロナウイルス感染症に債務者が罹患し、契約目的物を制作または調達することが困難となり、債務を履行することができなくなった場合について、恒久的に履行不能なケースと一時的に履行不能なケースに分けて検討がなされています。
また、契約締結時点で両当事者が予見できず、両当事者の責めにも帰されない客観的な事情が変更することにより契約を維持するのが困難となった場合について、新型コロナウイルスに関連する具体例を用いて、事情変更法理の適用可能性についても言及されております。
さらに、履行不能と事情変更法理が競合する場合の筆者の考え方が示されており、実務上悩ましい点について解決の糸口を与えてくれる内容となっています。
本記事では、債務を履行することが不能となった場合や当初の契約内容を維持することが困難となった場合に適用可能性がある法理についてわかりやすく整理されているので、この機会にぜひご覧ください。
(弁護士 小西 瑛郁)
協力:中央経済社
公式サイト(http://www.chuokeizai.co.jp/bjh/)