弁護士法人PLAZA総合法律事務所 PLAZA LOW OFFICE

【ビジネス法務】有事における自社債権「回収」最大化の要点

『ビジネス法務』2024年6月号の特集1は「債権管理の『トレンド・基礎・実践』」です。この中で「有事における自社債権『回収』最大化の要点」(執筆:渡邊徹弁護士 / 山口聡子弁護士)があります。取引先に信用不安が生じた場合や、倒産処理手続を行うことが判明した場合など、自社の債権を最大限に回収するにはどのように対応すべきであろうか、本稿で解説されています。

  • Ⅰ 総論
  •  1有事対応の心構え
  •  2平時の与信管理
  •  3詐害行為取消や否認のリスク
  • Ⅱ 取引先に信用不安があると思われる場合
  •  1状況の判断
  •  2取引先との交渉
  • Ⅲ 取引先が支払期日に支払いを怠った場合
  •  1状況の判断
  •  2取引先との交渉
  • Ⅳ 取引先が法的清算手続や私的整理等に入った場合
  •  1状況の判断
  •  2対応の方法

<PLAZA総合法律事務所の弁護士解説>

本記事では、取引先に信用不安や破産・民事再生等の倒産処理手続が行われた場合における、企業が検討すべき対応についての解説が行われています。

まず、取引先に債務不履行やその他の契約違反がないものの、取引先に信用不安がある場合の対応について、取引先の状況確認(取引先の事業所の最新の不動産登記情報等を確認し、保全・執行可能な財産の有無を調査する。)、取引先との間の現状の債権債務関係の確認(担保や保証の有無、相殺の可能性の検討。)、(可能であれば、)取引先の資産状況に関する資料の開示を求める、取引先との契約条件の維持、変更、終了の検討、新たな担保の設定、強制執行認諾文言付きの公正証書の作成(当該公正証書の作成により、判決を経ることなく強制執行が可能となる。)等の対応が考えられます。

次に、取引先が支払期日に支払を怠った場合の対応について、まず、上記の対応を通じ、支払の懈怠が何らかの原因による一時的な資金繰りの問題にとどまるのか、恒常的な資金繰りの問題であるのかを確認することが重要です。もし、支払の懈怠が一時的なものにすぎず、しばらく待てば債権回収の可能性が高いのであれば、支払期日の変更や分割払いの交渉等により債権回収を図る余地があります。他方で、支払の懈怠が恒常的な資金繰りの問題であるのであれば、取引先の資力の有無や債権の回収の可能性を踏まえ、法的手続を取るか否か検討する必要があります。

最後に、取引先が破産、民事再生、私的整理等に入った場合の対応について、破産等の清算型の手続の場合、各手続に則った債権の回収を図る(但し、回収可能性は低い。)、不良債権として税務上の貸倒処理を行うべきです。また、民事再生等の再建型の手続の場合、事業の正常化の可能性を踏まえ、取引関係を継続するか取引関係を解消するか検討する必要があります。そして、私的整理の場合、手続に参加可能であれば、手続に参加することにより債権の回収を模索すべきです。

本記事では、取引先の状況毎に取るべき対応が詳しく解説されています。この機会に是非ご一読ください。

弁護士 小熊 克暢(おぐま かつのぶ)

札幌弁護士会所属。
2020年弁護士登録、同年PLAZA総合法律事務所入所。北海道出身。

協力:中央経済社
公式サイト(http://www.chuokeizai.co.jp/bjh/

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