『ビジネス法務』2021年10月号の実務解説は「テレワーク時の労務管理で参考となる」です。その中で「帰宅後の部下に業務報告を求めた行為がパワハラ認定された判例解説と実務留意点」と題した記事が掲載されています。テレワークでは業務に関する指示や報告が、時間帯にかかわらず行われてしまいます。そのため、労働者の生活時間帯の確保に支障が生じるという懸念点があります。ひとつの判決をもとに、実務における留意点が紹介されています。
- Ⅰ 判決の概要
- Ⅱ 事案の内容
- 1パワーハラスメントを行なったことに対する戒告処分の有効性
- 2上司らによるパワーハラスメントの成否
- 3長時間労働による安全配慮義務違反の有無
- 4控訴の有無
- Ⅲ 実務上の留意点
<PLAZA総合法律事務所の弁護士解説>
本記事では、帰宅後の部下に対し遅い時間帯に頻繁に業務報告を求めた事件に関し、当該行為がパワーハラスメントに該当するか否かについて説明し、実務上の留意点についての解説がなされております。
本事件はテレワークを前提とした事案ではありませんが、テレワーク実施中の労務管理を考えるうえで参考になる事案です。
テレワークは、労働者の就労場所が事業場ではなく、使用者と一定の距離がある場所で働くことに大きな特徴があります。使用者は、テレワーク中の労働者に対しても、事業場で働く労働者と同様の労務管理を行う必要があることから、テレワークという就労の仕方に併せた労務管理が求められています。
また、電話やインターネットを利用した連絡方法の発展に伴い、使用者は労働者と即時に連絡をとることが容易になっています。さらにテレワークの場合、使用者と労働者が同じ事業場で働いていないことから、業務上の指示や業務に関する報告が時間帯にかかわらず行われる傾向が強くなっています。就業時間外の業務に関する連絡は、労働者の仕事と生活の時間の区別があいまいになり長時間労働につながるおそれがあることに加え、本記事で取り上げているような事案ですとパワーハラスメントと認定される場合もありますので注意が必要です。
本記事はテレワーク中の労務管理について解説がなされておりますので、テレワークを実践されている企業の皆様は、この機会にぜひ本記事をご覧ください。
(弁護士 小西 瑛郁)
協力:中央経済社
公式サイト(http://www.chuokeizai.co.jp/bjh/)