『ビジネス法務』2021年12月号の実務解説は「ワクチン接種をめぐる法的課題と企業のリスク対応」です。新型コロナウィルスに対したワクチン接種に関して、主要先進国と比べて出遅れていた日本も、ようやくワクチンを2回打ち終えた人が半数以上を超えました。政府は社会経済活動の回復に向け、スマートフォンでワクチン接種を証明するアプリを開発するとしています。ワクチン接種証明の活用については、経済の正常化に有効なものとして期待される一方で、ワクチン未接種者への差別や不利益扱いにつながることが懸念されています。本稿ではワクチン接種にかかる法的課題と、職場における対応について解説されています。
- Ⅰ ワクチン接種義務化をめぐる問題
- 1諸外国の対応
- 2日本の対応
- Ⅱ ワクチン接種をめぐる人権問題
- 1ワクチン接種の選択権
- 2ワクチン未接種者への差別的言動・不利益扱い
- Ⅲ 職場における感染予防対策
- 1コロナ禍における企業の安全配慮義務
- 2政府が求める感染症拡大防止対策
- 3ワクチン接種に係る企業のリスク対策
<PLAZA総合法律事務所の弁護士解説>
本記事では、新型コロナウイルスワクチン接種(以下「ワクチン接種」と言います。)をめぐる法的課題と企業リスク対応に関し、法律や公表されている指針に言及しながら、実務上の注意点について解説がなされております。
新型コロナウイルスの流行が未だ収束しない現在において、企業が従業員に対しワクチン接種を推進することを検討する場合や、企業内でワクチン接種・非接種をめぐる取扱いの異同について検討しなければならない場合が生じてくることがあるかもしれません。そのような場合に、どのような点に気を付けるべきかについてわかりやすくまとめられているのが本記事です。
特に、本記事では、ワクチン接種をめぐる法的問題点として、新型コロナウイルスワクチンを接種するか否かについては個々人の自己決定権を尊重すべき事柄であること、また、新型コロナウイルスワクチン未接種者への差別的言動や不利益取り扱いを行ってはならないことについて取り上げ、これらに反した場合にどのようなことが想定されるかについて説明がなされております。
また、一般的に企業には従業員に対する安全配慮義務が生じると考えられているところ、コロナ禍においては状況に応じた感染予防対策が求められる場合があります。本記事では、政府が推奨する企業の感染予防対策方法を取り上げ、これらの感染防止対策に積極的に取り組むことは、リスクマネジメントの観点からも必要不可欠であると紹介しており、非常に参考になります。
本記事は、ワクチン接種をめぐる法的課題と企業のリスク対応について解説がなされておりますので、ワクチン接種に関連する企業のリスク対応について検討している企業の方は、この機会にぜひ本記事をご覧ください。
(弁護士 小西 瑛郁)
協力:中央経済社
公式サイト(http://www.chuokeizai.co.jp/bjh/)