『ビジネス法務』2022年4月号の特集2は「改正公益通報者保護法への直前対策」です。今年6月1日から施行される改正公益通報者保護法は、内部通報の実務に与える影響が大きいと言えます。本特集においては、改正公益通報者保護法の直前対策として今般の改正の内容や、実務上の留意点などについてコンパクトに解説されています。その中でも特に、通報受付窓口設置等について、対応体制の整備について詳しく解説があります。
- Ⅰ 内部公益通報対応体制整備義務の概要
- Ⅱ 内部公益通報受付窓口の設置等
- 1 指針の内容
- 2 実務上のポイント
- Ⅲ 組織の長その他幹部からの独立性の確保に関する措置
- 1 指針の内容
- 2 実務上のポイント
- Ⅳ 公益通報対応業務の実務に関する措置
- 1 指針の内容
- 2 実務上のポイント
- Ⅴ 公益通報対応業務における利益相反の排除に関する措置
- 1 指針の内容
- 2 実務上のポイント
<PLAZA総合法律事務所の弁護士解説>
1 「公益通報者保護法」とは、労働者が、勤務先の事業者の不正等を発見し、公益のために通報を行ったことを理由として解雇等の不利益な取扱いを受けることのないよう、どこへどのような内容の通報を行えば保護されるのかをルールとして明確にしたものです。
まず、通報する「労働者」とは、正社員、派遣労働者、アルバイトのほか、公務員や退職者も含まれます。
また、「通報する内容」は「労務提供先」において「国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる法律」に違反する犯罪行為又は最終的に刑罰につながる行為が生じ、又はまさに生じようとしている旨を通報する必要があります。
そして、「通報先」は、I事業者内部、II権限のある行政機関、Ⅲその他の事業者外部のいずれかとなっております。
2 この度、令和4年6月1日から改正公益通報者保護法が施行されます。
改正の大まかな内容としては、①事業者に対し、内部通報に適切に対応するために必要な体制整備の義務化、②内部調査等に従事する者に対し、通報者を特定させる情報守秘の義務化等があり、事業者自ら不正を是正しやすく、労働者も安心して通報を行いやすくなりました。
その中で、本記事は通報受付窓口設置等の対応について紹介しております。
記事によりますと、通報受付窓口は、個々の事業部門から独立して、特定の部門からだけでなく、全部門ないしこれに準ずる複数の部門から部門横断的に内部公益通報を受け付ける必要があるとされております。
また、グループ会社の場合は、子会社や関連会社が自社の内部規定等で定めておけば、親会社の通報受付窓口を自社の窓口とすることも可能だそうです。
3 事業者自身が、内部通報制度を整備し、内部通報者を保護することのメリットとしては、問題の早期発見と被害の発生・拡大の防止によって組織の自浄作用を高め、それに伴ってリスクを抑制し企業価値も高められる点にあります。
是非本記事を読んで内部通報制度に対する理解を深め、運用されてはいかがでしょうか。
(弁護士 櫻井 彩理)
協力:中央経済社
公式サイト(http://www.chuokeizai.co.jp/bjh/)