『ビジネス法務』2022年6月号の実務解説は「NFTアートをめぐる取引の仕組み、法律関係、活用可能性(下)」です。近年急速に注目が集まるNFTアート。「実物」が存在しないデジタルアートをブロックチェーンの技術の活用によってアナログなアート作品と同様に譲渡できる仕組みです。このことによる法律関係や社会に与える影響について解説されています。
- Ⅰ 今後の展望① データの唯一の保有者であることの価値
- 1 NFTアートに対する信用の基盤
- 2 価値あるデータとは
- 3 「正統性」が認められやすい歴史的イベント
- Ⅱ 今後の展望② NFTアートとファインアートの世界の接続
<PLAZA総合法律事務所の弁護士解説>
本記事では、前月号に続き、近年急速に注目が集まっているNFTアートに関して、NFTアートの制度設計の可能性やNFTの活用方法についての考察が行われています。
前月号の復習ですが、NFTとは、Non-Fungible Token(非代替性トークン)の略語であり、ブロックチェーン技術を利用して、特定のデータに独自のトークンIDを割り当て、特定可能なものとする技術のことを指します。NFTアートとは、このNFT技術とデジタルアートを結び付けたものです。
NFTアートを購入した場合、通常、購入者は、作品の所有権や著作権ではなく、NFTアートの唯一の保有者であるという地位を得ることになります。この唯一の保有者という地位について、NFTアートの発行者が適切な制度設計をすることで取引価値を生じさせたり、保有者の行動をコントロールしたりすることができます。
例えば、NFTアートの内容をコード化し、今後発展が一定程度見込まれるメタバース(仮想空間)上において、NFTアートの保有者だけが作品を出現させることができるような制度設計をすることで、取引価値を生じさせることが考えられます。
また、本記事では、2021年の3月にTwitter社創業者のジャック・ドーシー氏による初ツイートのNFTが3億円余りで落札された事例を取り上げ、歴史的イベントが持つ普遍的な価値について、発行の正当性を有する人物がNFTを発行することで取引の対象とする、というNFTの活用方法の可能性が紹介されています。
近年急速に注目が集まっているNFTアートについて解説・考察が行われている本記事について、この機会に是非ご一読ください。
(弁護士 小熊 克暢)
協力:中央経済社
公式サイト(http://www.chuokeizai.co.jp/bjh/)