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【ビジネス法務】改正特定商取引法・消費者契約法をめぐる「サブスク契約」の見直しポイント

『ビジネス法務』2022年9月号の実務解説は「サブスク契約の見直しポイント」です。2021年に特定商取引に関する法律が改正され、2022年に施行されました。消費者契約法も改正され、2022年に公布されています。昨今注目を集める「サブスク契約」にも影響することから、これら改正の概要と実務における対応ポイントについて解説されています。

  • Ⅰ サブスク契約が注目されている背景
  •  1 サブスク契約とは
  •  2 サブスク契約に関するトラブル
  •  3 定期購入に関する裁判例
  •  4 特商法の改正
  •  5 消費者契約法の改正
  • Ⅱ 法改正の概要
  •  1 改正特商法の概要
  •  2 改正消費者契約法の概要
  • Ⅲ サブスク契約のモデル
  •  1 申込書面および最終確認画面モデル
  •  2 申込書面について
  •  3 最終確認画面について
  •  4 サブスク契約における表示事項について
  •  5 改正消費者契約法への対応
  • Ⅳ まとめ

 <PLAZA総合法律事務所の弁護士解説>

1 本記事の概要
本記事では、動画や音楽の配信サービスに代表される、いわゆる『サブスク契約』について、近時の特定商取引法及び消費者契約法の改正に伴う留意点が解説されています。

2 『サブスク契約』とは
いわゆる『サブスク契約』とは、サブスクリプション契約の略であり、定期的に一定金額を支払うことで、商品やサービスの提供を受けることができる契約のことを指します。サブスク契約は、当初、動画や音楽の配信サービス契約等において使われていましたが、昨今では、従来から定期購入と呼ばれてきた継続的売買契約一般も含む概念として広く浸透してきました。

3 特定商取引法及び消費者契約法の主な改正
2022年6月1日に施行された特定商取引に関する法律(以下「特商法」という。)の改正では、通信販売の申込みを受ける場合には申込書面又は手続画面において、法定事項(詳細は以下で説明)を記載しなければならないという規定(特商法12条の6第1項)と、人を誤認させるような表示をしてはならないという規定(同法第2項)が新設され、これらに違反した場合には懲役刑を含む罰則が科されることになりました(同法70条2号、72条1項4号)。また、上記の法定事項の記載に関する規定、又は誤認誘因表示の禁止に関する規定に違反した表示により、消費者が一定の事実を誤認し、それにより申込みがなされた場合には、消費者は契約を取り消すことができるとの規定も創設されました(特商法15条の4)。
一方、2022年6月1日に公布された消費者契約法の改正(一部を除き、公布の日から1年後に施行予定)では、事業者免責が認められるケースを事業者に重大な過失がない場合に限定していない免責規定は、無効とされました(消費者契約法8条3項)。

4 上記改正を受けた『サブスク契約』のモデル及び留意点
上記の法律改正の結果、特商法の適用対象となる次の2つの取引、事業者等が作成した様式の書面によって申込みが行われる取引(カタログを用いた取引など)、事業者等が電子計算機の映像面に表示する手段に従って申込みが行われる取引では、申込書面又は手続画面において、法定事項を記載する必要が生じました。具体的には、①商品又は役務の分量、②商品の販売価格又は役務の対価、③代金又は役務の対価の支払時期及び方法、④商品の引渡時期又は役務の提供時期、⑤申込みの期間に関する定めがあるときはその内容、⑥申込みの撤回又は契約の解除に関する事項の記載です。
②との関係で一例を挙げれば、初月割引料金のみを記載し、2か月目以降の料金を記載していないようなサブスク契約は、特商法違反となり、上記の罰則や契約取消しの対象となってしまいます。

5 おわりに
今回もお目通しをいただき、ありがとうございました。
現状サブスク契約を利用しておられたり、今後利用を検討しておられる企業様につきましては、ぜひ一度、特商法及び消費者契約法に関するその他の具体的対応策に関して、本記事の方でご確認いただければ幸いです。

弁護士 白石 義拓(しらいし よしひろ)

第二東京弁護士会所属。
2022年弁護士登録、同年PLAZA総合法律事務所入所。千葉県出身。

協力:中央経済社
公式サイト(http://www.chuokeizai.co.jp/bjh/

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