弁護士法人PLAZA総合法律事務所 PLAZA LOW OFFICE

【ビジネス法務】コンプライアンス・ナビゲート

『ビジネス法務』2022年9月号の特集は「コンプライアンス・ナビゲート」です。コンプライアンスに関して、その重要性は認識しているものの、各省庁からさまざまな指針やガイドラインが公表され、対応に苦労されている人も多いことでしょう。「コンプラ疲れ」というワードが頻出する今だからこそ、対応が必要なことについてその要点が大切になっています。なかでも「取締役に求められるコンプライアンスの着眼点」は取締役ならではの視点が解説されています。

  • Ⅰ はじめに
  • Ⅱ 会社が守るべき「ルール」と「約束」
  •  1 法令
  •  2 規格
  •  3 約束
  • Ⅲ 「企業が守るべき事項」のコンフリクトの発生
  •  1「法令」同士のコンフリクト
  •  2 ルールと約束のコンフリクト
  •   (1)昔からの習慣
  •   (2)特定の約束へのこだわり
  •   (3)役員の約束
  • Ⅳ コンプライアンスの着眼点

 <PLAZA総合法律事務所の弁護士解説>

1 コンプライアンスとは、「法令遵守」の言い換えであり、企業が法令にとどまらず、規則、命令、企画、仕様、要求などのルールや約束に従うことを意味します。
コンプライアンスという言葉は、2000年前後から頻繁に使われるようになり、昨今の企業活動には公平、公正、適切な社会規範、倫理観に従うことも求められるため、コンプライアンスの領域は企業活動の意思決定にも及ぶようになってきております。
本記事は、取締役がコンプライアンス体制を維持する上で注意すべきポイントを紹介しております。

2  まず、会社が「ルールを守る」際に生じうる問題として、①ルール同士のコンフリクトがあり、どちらのルールを守れば良いか分からない場合、と②ルールと約束のコンフリクトがある場合の2つが紹介されております。
私としては、日本企業では特に②が問題になるのではないかと感じました。
②が起こりうる場合として、⑴昔からの習慣がある場合、⑵特定の約束へのこだわりがある場合、⑶役員の約束がある場合の3つがあげられております。
昔から当然になっている習慣や約束によってコンプライアンス違反のリスクがある場合の原因は、担当者が長年固定され、先輩からの伝承が重視される文化があり、取締役含め他が踏み込めない領域が生じていることが考えられます。取締役がこれまで関与したことのない部署や領域を担当するようになると、何か疑問に思っても長年の経験者から今までのやり方ですと言われ、根拠を伴う反論が難しいこともあり得ます。特定の伝承や固定化された担当者があり、その業務内容がブラックボックス化されているような場合があれば取締役としてはすぐに注意し、常にあたりまえのことが適法であるか問い続けることが必要と言えます。
また、コンプライアンス違反が発生した事例では、その特定部署による自己監査だけが行われ、他部署による監視が行われていないことがあるそうです。取締役は、法務部や品質保証部の機能を高めるなどして自己監査に陥っている部署を他部署の目によりチェックし、違法、不適切な行為が行えない緊張感を社内に醸成し、コンプライアンス違反があれば早期に発見することが重要です。

3  最後に、本記事では、大和ハウス工業株式会社、ラクスル株式会社、三井物産株式会社でのコンプライアンス遵守の取り組みが紹介されております。
他社のコンプライアンス遵守の取り組みについてまとめて読む機会は少ないと存じますので、是非ご一読ください。

弁護士 櫻井 彩理(さくらい さり)

第二東京弁護士会所属。
2020年弁護士登録、2021年PLAZA総合法律事務所入所。東京都出身。

協力:中央経済社
公式サイト(http://www.chuokeizai.co.jp/bjh/

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