弁護士法人PLAZA総合法律事務所 PLAZA LOW OFFICE

【ビジネス法務】企業経営の出発点としての「ビジネスと人権」

『ビジネス法務』2023年1月号の特集は「企業経営の出発点としての『ビジネスと人権』」です。昨今、企業活動のグローバル化の進展などにともない、企業の人権への視点と取組みに注目が集まっています。2011年の国連指導原則をはじめ、わが国においても2020年9月には「人権尊重のためのガイドライン」が策定。これまで以上の対応が求められる状況にあります。本特集では、ビジネスと人権、SDGsの最新実務について解説があります。

  • Ⅰ ビジネスと人権に関する指導原則
  •  1ビジネスと人権に関する指導原則
  •  2指導原則の法制度の動き
  •  3指導原則が企業に求める人権対応
  • Ⅱ SDGsと人権
  •  1SDGsが企業に期待するもの
  •  2SDGsとビジネスと人権
  • Ⅲ ビジネスと人権・SDGsと企業経営
  •  1人権対応は経営課題
  •  2経営課題としてSDGsに取り組む

 <PLAZA総合法律事務所の弁護士解説>

「ビジネスと人権に関する指導原則」とは、2011年に国連の人権理事会で全会一致で支持された文書で、「人権を保護する国家の義務」、「人権を尊重する企業の責任」、「救済へのアクセス」の3つの柱から構成されています。企業が事業活動を通じて人権を尊重する責任を果たすために取り組むべき基本方針と体制整備の具体的な指針を詳細に定めています。
また、持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)とは、2015年の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。
SDGsの達成と人権の保護・促進は表裏一体の関係にあるとされており、企業がSDGsに取り組むうえでも、人権の尊重は重要になってきます。
特に、企業に対し、企業活動における人権への影響の特定、予防・軽減、対処、情報共有を行うこと、すなわち「人権デュー・ディリジェンス」(以下「人権DD」という。)の導入促進への期待が高まっています。これに関連して、日本政府は、2022年9月に、企業が人権DDの体制を整えて実施するためのガイドライン(「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」)を公表しました。企業は、企業が直接に引き起こす人権侵害だけでなく、企業活動を通じて助長したり、取引関係によって製品・サービスに直接関係したりした人権侵害に対しても責任を持つことが求められています。
現代の社会において、企業は「ビジネスと人権に関する指導原則」と「SDGs」の2つの考え方を一体の指針として実践していく必要があります。人権課題に取り組みつつ、持続可能な開発を行う企業は国際社会のみならず国内においても高く評価される傾向にあります。
本記事では、「ビジネスと人権に関する指導原則」及び「SDGs」に触れながら企業のあるべき姿を示してくれています。また、今回の「ビジネスと人権/SDGsの最新実務」の特集は企業活動と求められている人権擁護の姿勢について詳細にまとめられており最新の動向をつかむことができますのでぜひご覧ください。

弁護士 小熊 克暢(おぐま かつのぶ)

札幌弁護士会所属。
2020年弁護士登録、同年PLAZA総合法律事務所入所。北海道出身。

協力:中央経済社
公式サイト(http://www.chuokeizai.co.jp/bjh/

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