弁護士法人PLAZA総合法律事務所 PLAZA LOW OFFICE

【ビジネス法務】フリーランス法における取引の適正化に向けた実務対応

『ビジネス法務』2024年10月号の特集1は「フリーランス法の実務対応 施行直前の総まとめ」です。その中に「フリーランス法における取引の適正化に向けた実務対応」(執筆:那須勇太弁護士・池田絹助弁護士・小野関翼弁護士)があります。本稿では、フリーランス法に基づき事業者に求められる義務のうち、取引の適正化に関連する事項について、実務対応の内容を中心に説明されています。

  • Ⅰ フリーランス法の適用対象者と取引の適正化に関する規制の概要
  •  1適用対象者
  •  2取引の適正化に関する規制
  • Ⅱ 実務上の対応
  •  1フリーランス法の適用の有無の確認
  •  2確認対象事項に関する確認の実務的な対応
  •  3取引の適正化に係る規制遵守のための対応
  • Ⅲ おわりに

<PLAZA総合法律事務所の弁護士解説>

1 はじめに

本稿では、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(以下「フリーランス法」といいます。)の実務対応について解説がされています。フリーランス法は、令和6年11月1日から施行される予定となっているため、体制整備が急務となっています。

2 適用対象

フリーランス法は、「特定受託事業者」に「業務委託」をする「業務委託事業者」に対して一定の義務を課す法律です。各定義は、以下のとおりとなっています。

「特定受託事業者」:従業員を使用していない個人
又は
従業員を使用していない代表者1名のみの法人

「業務委託」:物品の製造加工、情報成果物の作成、及び役務の提供等の委託

「業務委託事業者」:従業員を使用している個人
又は
従業員を使用している法人若しくは役員が2名以上いる法人

3 規制内容

一例としては、以下があります。

委託内容、委託対価、支払い期日等の明示義務(3条)
業務完了後60日以内の対価支払い(4条1項)
受託者の責めに帰すべき事由がないにもかかわらず、委託対価を減額すること(5条2項)
受託者の責めに帰すべき事由がないにもかかわらず、業務の修正・変更を依頼すること(5条2項)

そして、これらの違反事実が発覚した場合には、公正取引委員会から勧告措置があり、勧告措置に従わない場合には違反事実が公表されることになります(9条)。

4 適用の有無の確認方法

フリーランス法適用の有無の分岐点となる「従業員の使用の有無」については、会社の登記簿からは特定できず、調査が容易ではないケースも想定できます。
したがって、個人事業なのか事業体なのかが一見して判別しない場合には、契約締結時に、従業員の使用有無について確認を求めることが必要になってきます。

5 適用の基準時

業務委託契約締結時には従業員を使用していなかったが、業務委託契約締結後に従業員を使用し始めたという場合には、遡及的にフリーランス法が適用されることにはなりません。
もっとも、契約更新後の取引関係には、フリーランス法が適用されることになるので注意が必要です。

6 おわりに

今回もお目通しをいただき、ありがとうございました。
フリーランス法については、労働法、下請法、独占禁止法などとの関係でどちらが優先的に適用されるのかといった問題点もあります。読者の皆様におかれましては、60日以内の支払いを履践できるよう経理体制を整備していただきつつ、ご不明な点がありましたらご相談をいただければと存じます。

弁護士 白石 義拓(しらいし よしひろ)

第二東京弁護士会所属。
2022年弁護士登録、同年PLAZA総合法律事務所入所。栃木県出身。

協力:中央経済社
公式サイト(http://www.chuokeizai.co.jp/bjh/

最近のコラム