第36回目は、賃金⑦です。
今回は定額残業代についてです。
定額残業代とは、あらかじめ一定の割増賃金を、毎月定額で固定して支給することをいい、「固定残業代」や「みなし残業代」ということもあります。これは残業の有無にかかわらず、支払う賃金になりますので、残業をしていない月であっても支払う必要があります。しかし、定額残業代を超える残業代(時間外労働)が発生しない限り、何時間残業をしても残業代は増えないため、無駄な時間外労働を防止する効果や、採用時の給与額を大きくみせるという効果もあります。
定額残業代の設計や運用を誤ると、裁判で無効と判断されることもあります。定額残業代が否定されてしまうと、いままでの残業代が支払われていなかったとみなされ、過去に遡って、時間外労働に対する賃金を支払わなければなりません。
次回以降、設計・運用時の主な留意点について、確認をしていきます。
次回テーマは、「賃金⑧」です!
社会保険労務士 上戸 悠吏江(うえと ゆりえ)
2008年太田綜合法律事務所(現PLAZA総合法律事務所)。2018年社会保険労務士登録。北海道出身。