第33回目は、賃金④です。
今回は、最低賃金についてです。
厚生労働省は、都道府県労働局に設置されている地方最低賃金審議会が答申した2023年度の地域別最低賃金の改定額を取りまとめました。答申された改定額は、都道府県労働局での関係労使からの異議申出に関する手続を経た上で、都道府県労働局長の決定により、10月1日から10月中旬までの間に順次発効される予定です。47都道府県で、39円~47円の引上げが見込まれており、全国平均で1004円となる予定です。
支払われる賃金が最低賃金額以上となっているかどうかは、次の方法で確認できます。
(1)時間給制の場合:時間給≧最低賃金額(時間額)
(2)日給制の場合:日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
(3)月給制の場合:月給÷1箇月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
(4)出来高払制その他の請負制によって定められた賃金の場合:出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額を、当該賃金計算期間に出来高払制その他の請負制によって労働した総労働時間数で除して時間当たりの金額に換算し、最低賃金額(時間額)と比較します。
(5) 上記(1)、(2)、(3)、(4)の組み合わせの場合:例えば、基本給が日給制で、各手当(職務手当など)が月給制などの場合は、それぞれ上記(2)、(3)の式により時間額に換算し、それを合計したものと最低賃金額(時間額)を比較します。
最低賃金を下回る賃金が定められた場合、それは無効となり、自動的に最低賃金が適用されます。罰則や労働基準監督署による行政指導の対象となりますので、特に(3)~(5)で支払っている場合には、最低賃金を上回っているか確認をしておくとよいでしょう。
次回テーマは、「賃金⑤」です!
社会保険労務士 上戸 悠吏江(うえと ゆりえ)
2008年太田綜合法律事務所(現PLAZA総合法律事務所)。2018年社会保険労務士登録。北海道出身。